荒野で人狩り……ルチさんたちは外からやってきて、部族の人たちを捕まえる商人たちを『人狩り』と呼んでいるそうです。その人狩りに連れられていたのは、ペペミカ族というかなり離れた地域の部族の方々でした。部族としての勢力はどちらかというと小さく、水源近くに集落を築いてひっそりと暮らしていたようです。そこに友好的な顔をして近づいてきた連中が、突如として人狩りに変貌して襲いかかりました。連中の数はそう多くないものの、一方的に銃で狙われてはひとたまりもありません。ろくに反撃する間もなく集落は壊滅、男や老人たちはみんな撃たれて、若い女と子供は連れて行かれてしまったというわけです。 「揉めごと避ける、なるべく。そう考える部族、多くないけど、少なくない」 ルチさんが言うには、かつての争いの名残もあって、外部の人間を恐れて穏便に済ませたいと考える部族もいるのだそうです。一方、ヒルチヒキ族のみなさんのように奇襲を仕掛けるような部族も当然いるので、その辺りの方針は部族や集落の長によるのでしょう。勢力の小さいペペミカ族のみなさんは、なるべく下手に出て刺激せずにやり過ごす、という方針を取っていたようです。 「戦わない、間違い……とは言わないけど、正解でもない。仲間逃がす、揉めたら危ない思わせる、戦い方、色々ある。準備しておく、大事」 そうですね。穏便に仲良く接することで避けられる争いもあるのでしょうけど、それが上手くいかなかった時の準備はしておくべきでしょう。人狩りに遭った方々には気の毒ですが、人間それほど善性では行動していないですからね。 かといって初めから敵として対応して、例えば攻撃を選んでいたとしたら、もっと被害は大きかったかもしれません。結局のところ、答えは結果でしかわからないのです。 「ねえ、ルチさん、どうにか保護できませんかね?」 ペペミカ族のみなさんの衰弱はかなり激しく、移動中に最低限の水と食糧しか与えられていなかったのか、特に子供は意識も朦朧としています。ゆっくりと水を飲ませて、馬車にあったパンをくたくたに煮て食べさせているのですが、所詮はその場凌ぎ、どこか落ち着ける場所でしばらく休ませるべきでしょう。 「保護、難しい。一時的、出来なくもない。ずっとは無理」 「無理なんですか? どうして?」 ルチさんは難しい顔をして言葉を選ぶようにしばらく唸って、ペペミカ族のみなさんに気を使った...