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モグリール治療院外伝 ― ルチ・フォナ ―

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モグリール治療院外伝 ―ルチ・フォナ― < 部族の少女と部族の人たちが物騒な冒険を繰り広げるサイドストーリー > ▶ 第1話「人食い部族に囲まれて生贄に捧げられそうになった話」 ▶  第2話「族長が夢に出てきた話」 ▶  第3話「ウミガメのようなスープを食べる話」 ▶  第4話「勇敢なヒルチ戦士と臆病な人間の話」 ▶ 第5話「紙と筆で理想を語り、鉄と火薬で現実を綴る話」 ▶ 第6話「広いようで狭い荒野と砂漠の話」 ▶ 第7話「巨大な人食いサメが砂漠を泳ぐ話」 ▶ 第8話「暴れ牛と挑む泥んこ奇祭の話」 ▶ 第9話「大地を駆ける鉄の馬車と田舎のおのぼりさんの話」 ▶ 第10話「鉄道の隣では烏賊が走っている話」 ▶ 第11話「部族の少女が“人間”の町に踏み込む話」 ▶ 第12話「せっかく都会に来たから下水道のワニを捕まえる話」 ▶ 第13話「交渉という名の机下の殴り合いの話」 ▶ 第14話「命乞いをしながら葡萄酒を飲む聖人の話」 ▶ 第15話「カメを捕まえようとしたら豚が捕まった話」 ▶ 第16話「平和と労働に満ちた素晴らしい日々の話」 ▶ 第17話「知恵の民と荒野の技師の話」 ▶ 第18話「最初に文明の始まった地の話」 ▶ 第19話「地平の果てで歌い踊る獣の話」 ▶  ≪データフェチに送るルチ・フォナ外伝データ集≫ ▶ クラス表 ▶ クラスチェンジ表 ▶ アイテムリスト(武器編) ▶ アイテムリスト(防具・装飾編) ▶ アイテムリスト(消費アイテム編) ▶ 部族図鑑 ▶ ルチ・フォナ外伝 拠点情報 ▶ モブチヒキについて ▶  16話時点でのステータス ※モグリール治療院本編はこちらから もぐれ!モグリール治療院 ※その他の小説はこちら 小説一覧

ルチ・フォナ外伝 第19話「地平の果てで歌い踊る獣の話」

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歌い踊る戦獣、それがドンガドンタ族という部族です。獣のような仮面を被り、祈りや供物の代わりに精霊に歌と踊りを捧げ、戦士ともなるとその身に精霊を降臨させるといわれています。教会の調査では、戦闘部族としてタルダイ族やドゥローミー族、アルバディー族などが危険視されがちですが、真に危険であるのは外の世界での神に値する精霊、それらと深く繋がる者なのかもしれません。そういう意味ではドンガドンタ族こそが荒野の戦士といっても差し支えないでしょう。 精霊への信仰心でいうとルチさんたちヒルチヒキ族と似た部分がありそうですが、どの世界でも隣人と仲良く出来ないように、同じものを信じている者同士こそ仲違いしやすいものです。教会が同じ神人バスコミアナを信じているはずの別の宗派をどれだけ手酷く執拗に弾圧してきたかを考えれば、嫌な未来予測だって容易に想像出来てしまいます。 なるべく穏便で平和的にやり過ごしたいものですね。 「見えてきた。ドンガドンタ族、集落」 ドンガドンタ族の集落は荒野から外れて徐々に緑濃くなる森林の中にあり、普段は他の部族や外からの人狩りを避けるように暮らしています。共同体構想を考えていたジェンリィン族が誘っても首を縦には振らず、外敵と戦うよりは隠れてやり過ごすことを選んだようです。もしかしたら他の部族に戦わせて、自分たちの人数はなるべく減らさないよう立ち回ると考えているかもしれませんが、騎士団や教会と事を構えるリスクを考えると避けるのは当然の選択肢です。 支援を受けたヒルチヒキ族が騎士団と対等な装備を手に入れて仲間を取り戻したという話は、まだ彼らにまで届いていないでしょうし……逆にいえば支援という手札を見せれば首を縦に振る可能性もあるわけです。もちろん勝ちが確定した争いではないですが、おそらく騎士団も教会も殲滅戦を仕掛けることは無いでしょう。隣国フィアレアドとの国境線上で続く泥沼の戦争、ピョルカハイム保護区周辺の地権を巡る闘争いわゆる大地の解放事変での際3桁にも及ぶ戦死者……互いに野心を抱える隣国とはさておき、基本的には保護区の中から出てこない部族との争いでは落としどころが肝心です。仮に土地や資源を得られるとしても、そのために費やされる人命の数と釣り合っていなければ貴族や領主からの支持を失ってしまいます。 戦争の勝利条件としてこれ以上引けない限界のラインは、一説には総兵力の3割...

ルチ・フォナ外伝 第18話「最初に文明の始まった地の話」

ナシャ・デデレピャ、ホウェ! ワサハ・レベチェ・ジェンリィン・ノワレム! ……と言われたところで、ヒルチヒキ族を含めたピョルカハイム保護区諸部族の言語体系を知らないとさっぱりわからないと思うので、いわゆる標準語に翻訳しよう。ジェンリィン族と同盟の約束を取り付けた私たちは、ドンガドンタ族との交渉の前に、とある場所への巡礼を済ませておくことにした。 そこはジェンリィン族の祖先が作ったと伝えられる、この地上で最初に生まれた文明が築き上げた遺跡スカラ・エストゥラパだ。おおよそ1万年以上前に作られたそれは、現在の技術でも不可能に等しい深さのを荒野のど真ん中に、しかも四方の壁はどれも寸分違わぬ幅でさらに完璧な垂直に彫られているのだ。その壁を更に刳り抜いて52層にも渡る階段が鱗状に、上下左右すべて同じ幅、同じ角度で底まで敷き詰められている。そんな果てしないほど長く深い階段を降りた底には、やはり現在の技術でも難しい余りにも精巧な装飾の施された石彫りの玄室が鎮座していて、中にはかつてのジェンリィン族の長が眠る石棺が封じられているのだとか。 私はそれほど遺跡に興味があるわけでもないけど……ここまで来ておいて自分を偽るのはやめよう。なにを隠そう、私は趣味の釣りと同じくらい遺跡巡りが好きなのだ。遺跡はいい、歴史そのものには別に興味はないけどヒルチヒキ族の集落や縄張りでは見ないような建物もあるし、盗掘目的のけしからん連中を後腐れなく全滅させて生贄に捧げることだって出来る。 ありがとう昔の人、今日も精霊に感謝、泥棒は皮剥いで残りはお肉! というわけで逸る気持ちを一切抑えずにスカラ・エストゥラパへと向かうのだ! 「着いた! でっかい、素晴らしい!」 遺跡は大きければ大きいほど良い。もちろん小さい遺跡にだって他のものに換えがたい魅力があるけど、やはり遺跡は大きい方がいい。大抵のことは大は小を兼ねるというけど、移籍と魚に関しては大は小を兼ねない。大きいことが正義なのだ。 「ルチさん、鼻息荒くしているところすみませんが、本当にこれを降りるんですか?」 ノルンが果てしなく続く階段を見下ろしながら、私に物言いたげな眼差しを向けてくる。最短で真っ直ぐ降りるにしても52層、1層につき14段あるから500段? 600? もうちょっと多い? ただ降りるだけでも楽しむ時間はたくさんある。私なんて隅々まで歩き倒してや...

ルチ・フォナ外伝 第17話「知恵の民と荒野の技師の話」

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いつも思うのですが馬車というのは便利な物です。板を組み合わせて作った箱に車輪と軸を通して、それを人間より遥かに力のある牛や馬が引っ張ってもらうだけ、私たち人間はひとりふたりは御者として牛や馬の手綱を引いて、あとは隣をのんびり歩いていればいいし、疲れたら荷台に横になって眠ることだって出来ます。速度はそれほどではありませんが、運搬能力は人間の自力とは比べ物になりませんし、負担の少なさと快適さなんて比べるのもおこがましいものがあります。 特に舗装もされていない荒野を進む時には、馬車のありがたみを強く感じるわけです。ただ歩いているだけでも足が鉛になりますからね、太陽に焼かれて体にまとわりつく汗が塩の粒に変わる頃には、自然と文明賛歌を奏でたくもなってきますよ。文明様ありがとうございます! 馬車の上で寝転んで失礼かもしれませんが、今日もきちんと感謝を捧げますね。 馬車は外部から持ち込まれたものと、もっというとピョルカハイム保護区は野蛮な未開の土地で文明とは程遠い場所だと思われがちですが、この地に暮らす部族のみなさんは外の世界とは異なる独自の文化を築いています。 ルチさんたちヒルチヒキ族は樹木から抽出した染料や骨や皮の加工が得意ですし、同盟者でもあるタルダイ族は蛇腹剣という特異な武器を開発しました。ヴァッカレラ族は筏や水上小屋の製法を発展させましたし、他の部族の方々も珍しい装飾や工芸品を作る技術を持っています。 そんなピョルカハイム保護区で文明の礎となったのがジェンリィン族のみなさんです。彼らは保護区も外も含めた世界で初めて車輪を発明したとされる部族で、並外れて豊富な知識と巧みな手先を持っているといわれています。さらに文化的に優れているがために争いを好まず、そのために騎士団や教会から度重なる弾圧を受けるという堪えがたい歴史も持っているわけですが。 「ところで急にジェンリィン族と同盟なんて、長老さんはどういうお考えなんですかね?」 「ジェンリィン族の発明、すごく便利。集落の守り、必要」 なるほど技術提供を求めるわけですね。彼らの発明がどの程度のものか知りませんが、ヒルチヒキ族よりも強固な防護柵やバリケードなど作れるのでしたら協力してもらいたいところです。他にも投石機があれば威嚇にも牽制にも使えますし、水車があれば普段の生活にも便利ですね。なんだか考えただけで俄然楽しくなってきました...

モブチヒキについて

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ノルン(以下ノ)「ルチさん、ルチさん。私たちの拠点が出来たのでモブチヒキのみなさんを雇えるようになりましたよ!」 ルチ(以下ル)「モブチヒキ? ヒルチヒキ族なら知ってる」 ノ「モブチヒキっていうのは、いわゆるモブのヒルチヒキ族のことです」 ル「どぶ? ヒルチヒキ族、ドブには住んでいない。住んでる場所、荒野と崖」 ノ「モブっていうのは元々は群衆を差すスラングですが、ここでは一般兵的な人たちのことを指します。ちょっとメタな説明ですが」 ル「メタメタにはしてない、暴力振るう、戦いの時だけ」 ノ「……メタは一旦置いておきましょう。そういうわけで今回はモブチヒキのみなさんを解説していきますよ」 ル「一旦置いた、どこ? 見当たらない」 ≪モブチヒキの基本ステータス≫ ノ「まずモブチヒキのみなさんは、拠点の訓練所でランダムに加入します。性別は男女どちらか、属性は火水土風雷の5種類のどれかで、ステータスは男女共通で基本値そのままです」 ル「基本値、強い?」 ノ「せっかくなのでルチさんと比べてみましょうか。上がルチさん、下がモブさんの数値です。ちなみに移動力と種族スキルは同じです」 HP 腕力 魔力 守備 魔防 命中 回避 必殺 幸運 魅力 22  9  2  1  2 17  7 13  1  6 19  7  2  1  2  5  5 10  0  0 移動 4↑3↓4(山岳) 種族スキル 精霊の祈り(戦闘不能にした時にHPを20%回復する) ノ「ルチさんは主人公補正がついているので、基本的にはモブチヒキのみなさんより基本値は高めです。特に命中なんかは12も上ですよ」 ル「主人公? ノルンじゃない?」 ノ「私は狂言回しや語り部的なポジションですので」 ル「きょーげん? 食べ物?」 ノ「人肉が食べれるなら食べ物に違いはないですね! 話を戻しますが、成長率はみなさん共通でこんな数値です。例によって上がルチさん、下がモブさんの成長率です」 HP 腕力 魔力 守備 魔防 命中 回避 必殺 幸運 魅力 40 40 30 20 25 55 40 35 10 30 30 30 25 25 25 30 30 25 25 20 ル「守備と幸運、負けてる!」 ノ「そうですね。私たち固有キャラクターは得意不得意もあって、高い数値や低い数値があるわけですが、モブのみなさんは極端な不得意がない代わりに最...