プランドーラ交易道はただの道ではありません。開拓者たちが切り拓いた森の中に、煉瓦と石畳を敷き詰めた大街道とでも呼ぶべきもので、片側には果てしなく伸びる鉄のレールと等間隔に並べられた枕木が、もう片側には鉄道従業員たちや商人、旅行者を相手に栄える駅逓街が要所要所に築かれています。駅逓街は利用者向けの宿と飲食店、酒場、材木屋、修理屋、道具屋、服屋、買取屋や加工場といった需要のある施設が一通り揃っていて、大きな駅がある町にもなると教会や学校、住宅地なんかもあったりします。 私たちが抜け出た森の近くにある駅逓街はそれほど大きなものではありませんが、この先の旅路を怪しまれないように仕立て上げる道具は一通り揃っていそうです。 「道具、必要。銃弾、矢、刃物、色々」 「違います。まずはみなさんの服です」 言うまでもなくピョルカハイム保護区で暮らす部族の皆さんは、外の町……保護区外に出た今となってはこちらの町では異分子扱いされます。文化的な違いから服装もかなり異なりますし、それこそヒルチヒキ族の骨のような化粧やタルダイ族の蛇のタトゥーは、否が応でも目立ってしまいます。 幸いなことに一番隠すのが難しそうなヒルチヒキ族の戦士のおふたりは、他にやることがあるからと森を出たところで別れ、ヤクシさんの乗っていた水牛と一緒にピョルカハイム保護区の内側へと戻ってしましました。元々タルダイ族との交渉のための護衛でしたし、外にまで付き合う筋合いはないのでしょう。もしくは本当に他に役割があるのか、その辺りは私にはわかりませんが……。 「服の方はどうにかなるとして、ヤクシさんの頭は……とりあえず帽子と布でなんとかしましょう」 カラさんの体格は一般的な男性と大差ありませんし、顔にも少々タトゥーが入っていますが、それほど目立つものでもありません。普通のシャツでも着ておけば、ごくごく一般的な青年を装うのも難しくありません。ヤクシさんも全体的に厚めとはいえ人間離れするほどではなく、肉体労働者だとよく見かける体型です。帽子と布で顔の怪我を隠せば、元負傷兵や元労働者風に仕上げることも出来なくはありません。 ルチさんに至っては元の素材が良いため、頬の白い染料を落として獣の頭蓋骨を脱ぎ、町娘風の長袖のシャツとスカートでも着せてしまえば、それだけでどこに出しても問題ない美少女に仕上がるでしょう。むしろこれだけの素材、勝手に服...