人狩りに遭遇したペペミカ族のみなさんを、それなりに安全な場所まで送り届けた私たちは、改めて他の部族との同盟交渉に向かうことにしました。向かうことにしたのですが、 「ノルン、様子おかしい。うんこ、我慢してる?」 「ルチさん、若い女子がうんことか言わないでください。ちょっと考え事をしてただけです」 私たちがこうやって移動している間にも、先日のような人狩りも現れているわけです。かといって毎回人狩りをどうにか出来る程の戦力はありません。前回は奇襲と地の利で勝ったに過ぎず、運が良かっただけともいえます、ろくな戦力にもなっていない私が言うことでもないですが。 人狩りは教会や騎士団から直接派遣された正規兵ではなく、あくまで非合法的な生業を得意とする商人ですが、部族側の抵抗が続くと、それこそ鉱山労働者を集める時のように騎士団が護衛に就くでしょう。そうなったら私たちには手も足も出ません。一般人が持てる武装はせいぜい鉄製か鋼、銃もルェドリア銃かアンゴディア式散弾銃のどちらかですが、騎士団の装備となると遥かに高価で性能の高いロンダリア鋼やランバール銀、ベルマー鉱石で作られた武具に、銃器も射程と威力どちらにも優れるベリニャ式狙撃銃になるわけです。 部族側と騎士団が戦った場合の結果は、先の大地の解放事変で示されています。装備に優れる騎士団に対して、部族側は勝ち目がありません。対抗するには外部からの協力、それこそ対等に戦うための武具、資金的な援助が不可欠となるわけです。 そのためにも部族側がまとまって、外部の協力者を募らないといけないわけですが……ジレンマですね。問題が大き過ぎるために、徒労に終わるかもしれない小さなことを進めざるを得ません。 徒労といえばで思い出しましたけど、再びあの移動をしないといけないんですよね。砂漠のタルダイ族の勢力下まで、なにもない荒野を延々と歩き続けるのはまさに徒労です。あの辛さと虚しさを味わってしまった今となっては、徒労というよりも苦痛が近いかもしれません。わあい、辛さと虚しさと疲れに苦しさと痛みが加わりましたよ。牛さんやお馬さんが代わりに歩いてくれた馬車が恋しいです。 「馬っ! 1頭だけでも貰っとけばよかった!」 急に大声を出したからか隣を歩いているルチさんや、前を進んでいた戦士のおふたりが怪訝そうな目を向けてきます。気が狂ったわけではないのですよ、ちょっとお馬...