もぐれ!モグリール治療院 おまけ「ディーマお姉さんのわくわく恐竜ランド」

「さあ、ヤミーちゃん殿! 気を取り直していくでござるよー、にんにん!」

私の名前はタヌキバヤシ・アヤメ。東の大陸から来た忍者でござる、おまけに美少女でござる、にんにん! 狐狗狸の三忍が一角、狸の忍者の端くれで、修行をサボって釣りに出たところを波にさらわれ、波のまにまに命の花が散りそうな窮地をどうにかこうにか切り抜けて、こっちに流れ着いて色々あってヤミーちゃん殿の部屋の天井裏でお世話になっている。
狐狗狸の三忍はそれぞれ得意な忍術分野があって、例えば狐は幻術とかの搦め手、狗は呪術や体術が得意なんだけど、狸の得意分野は絡繰。私も108の武器を仕込んだ巨大な狸の絡繰を持ってたんだけど、サメと戦ったりクジラを追い払ったり、なんかでっかい化け物から逃げるのに使って今となっては海の藻屑……ちなみに好きな食べ物はもずくではない。
そんなわけでいまいち本気を出せない状態だけど、しかし私も忍者の端くれ。受けた恩は秒で返したいので、でっかいトカゲみたいな生き物が闊歩する、遺跡の中の謎の草原に再び挑むのであーる。
大活躍しちゃうんだから! にんにん!


「ふーん、君、面白い術を使うんだね……魔力で生み出した分身体というわけでもないし、そっくりに作った機械人形でもないし、おまけにどちらにも意識と思考がある。魂そのものを分離して自分を増やす術、魔竜族の繁殖方法に近いのかな? でも自在に元にも戻せる、あれの出し入れ自由な仕様といったところか」

分身の術で再び遺跡の中に入った瞬間、顔や腕に薄っすら火傷みたいな痕が残るお姉さんに捕まっちゃった。お姉さんは背が高く、体型はすらっとしていて、なぜか白衣を着ているけど、そんなことより問題なのは圧倒的な膂力。忍者として鍛えた私が押しても引いても体幹が一切ぶれず、私の首根っこを掴んだ腕を振りほどこうとしても欠片も動きそうにない。ものすごく頑丈な鉄骨が伸びて、それに掴まれてるみたいな感触。
「落ち着きのない狸みたいでかわいいね。さすがに解剖するのはやめておこうか」
恐ろしいことを言いながらお姉さんは私から手を放し、ついでにその瞬間に放った苦無をもう片方の手ですべて受け止めて、しかも器用に指の間に挟み取ってみせた。
「もしかしてプレゼント? ありがとう、この辺では見ない形のナイフだね」
いやー、倒そうと思って投げたんだけど、こいつは無理だわー。お手上げ、ばんざい!
こうなったらかわいげと愛嬌で乗り切ろうと、両手を上げておどけてみせたら、お姉さんはふふっと笑みを浮かべて、草原を闊歩する巨大な生き物たちを指差した。

「ここは恐竜の繁殖場所でね。恐竜っていうのは1万年ほど前まで大陸各地に生存していたドラゴン種族の小型種なんだけど、ドラゴン同士の戦争で絶滅寸前まで減ってしまった。ここは彼らが元の数とまでは行かなくとも、滅びを免れるように増やしてあげる場所で、私は友人に頼まれて管理者をしている。暇だったからね」
巨大なトカゲみたいな生き物は恐竜というらしい。ちなみにここにいる恐竜は大きいの、建物くらいの大きさの個体が5種、中くらいの、象くらいの大きさのものが13種、小さいの、それこそ人間くらいの大きさのものが40種ほどいるらしい。
「つまりお姉さんは美人恐竜博士ってこと?」
「そうだね、美人恐竜博士だね。博士というか研究者、ちなみに既婚者で旦那も研究者をしている。彼の場合は研究者というか、知識を少しずつ他の種族に下ろしている感じだけど」
お姉さんは結婚もしているらしい。こんな強い人と結ばれてるなんて、幸せ者だねその人は。いよっ、自宅警備力が桁違い!

「ところでお姉さん、私たちは冒険者でして」
「たち? ああ、外にも仲間がいたね。ウルフヘズナルの女の子に部族の女の子、肥満気味のサイクロプス、武装したオーク兵にゴブリンの子供が3人、それに君そのもの。拠点にはゴーレムに羊にタコ、オーガにリザードマンにその他諸々、なかなか面白いメンツだね」
お姉さんは遺跡の外どころか、ここから結構離れてるはずのポルトデールにあるギルドハウスまで見えているようで、風変わりなヤミーちゃんの仲間たちを面白がっている。原理はわからない、忍術にも夜目を利かせたり音の反響で人数を確かめたりする術があるけど、そういうのとはまったく別種の能力だと思う。
でもそんなことより、もっと大事なことがある。
「ここって、お宝とかあったりする?」
それがお宝。この世でお宝より大事なものはそう多くない。努力・友情・お宝。義理・人情・お宝。ごはん・うどん・お宝。清酒・焼酎・お宝。それくらいの価値があるのだ、お宝には。

「お宝ねえ、ここがドラゴン種族の隠れ家だったころはあったかもしれないけど、千年くらい前にラティフォリアが片付けたから。あ、ラティフォリアっていうのは、さっき言った友人のことなんだけど。あの子が中身をかなり改造しちゃったものでね、元々あった物はどこにいったのかな」
お姉さんが壁に触れると、どこからともなく壁沿いを人間大の箱が飛んできた。どうやら物入れみたいで、収納された金鎚とか鋸とか、折り畳み式の椅子とかゴザとか、鍋とかフライパンとか、袋に入った茶葉とかそういったものを次々と外に出し始めた。
「あのー、ついでに聞くんだけど、そのらてなんとかさんが改造したから、ここってこんなに広いの?」
「そうだよ。ラティフォリアは特に魔法に優れていてね、この空間、面積は大体ラステディン教会統治地なんかと同じくらいの広さがあるけど、この規模を砦の中に閉じ込めるなんて芸当が出来るのはあの子くらいだよ」
そのなんとかって土地は知らないけど、どうやらこの草原は私が想像するよりもずっと広いみたい。
「……あった。無許可とはいえ折角遊びに来たんだ、お土産を渡さないのも失礼だからね。こんなもので良ければあげよう」

お姉さんが箱の中から取り出した石製の腕輪を放り投げて、器用に放物線を描いて私の掌の上に落ちた。
「それはザウルロックといってね、まあそれなりに価値のある物だよ。念じればその身を恐竜に変えることも出来るし、売ればそれなりに高い値が付く」
「へー」
そんな高そうなものには見えないけど。
「10年は遊んで暮らせるかな」
「ありがとうございます、いただきます!」
はぁー、ありがたやありがたや。お姉さん、また遊びに来てもいいですかねえ、いやお土産目当てってわけじゃないんですけどね、えへへへへ。


「駄目だよ。ここは恐竜を育てるための場所だからね」
下心が見透かされたのかピシャリと断られて、そのまま摘まみだされてしまった。
あ、ヤミーちゃん殿、これはお土産でござる。私が貰ったから恩返しは売り値の1000分の1くらいでいいよね? え? ヤミーちゃんが付けちゃうの? いやー、売った方がいいんじゃないかなー? その方が結果的にいいような気がするんだけど……あ、なんでもないでござる。お好きにどうぞ、にんにん。


取得:ザウルロック(恐竜の術具)×1


▶▶▶「簡単にふらっと遊びにくる支配者」


≪NPC紹介≫
ディーマ
種 族:改造氷竜(女、??歳)
クラス:ドラゴン(レベル42)
    HP 腕力 魔力 守備 魔防 命中 回避 必殺 幸運 魅力 移動
能力値 59 35 18 32 24 35 30 28 18 26  4↑2↓3(歩兵)
成長率 70 55 20 50 35 50 45 40 15 40

【技能】
短剣:B 剣術:A 槍術:B 斧鎚:S 弓術:A 体術:B
探索:A 魔道:C 回復:E 重装:A 馬術:E 学術:S

【装備】
クレイドル  威力53(18+35)
プロメテウス 威力31(13+18/炎属性、魔法武器)
ルビーアイ  炎耐性上昇、火竜の術具

【スキル】
【個人】改造されし竜(炎・氷属性を無効化)
【固有】竜の血(毎ターンHP25%+状態異常回復)
【改造】ヘルヘイムの悪夢(毎ターンHP30%減少、確定でクリティカル発生)
【改造】ビフレストの虹煌(HP10%消費して周囲5×5を炎上させる)
【改造】ベルグリシ投擲砲(HP10%消費して射程7、範囲3×3の砲撃)
【改造】レーギャルンの箱(攻撃力20の炎属性の武器をランダムで作り出す)

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