ルチ・フォナ外伝 第40話「荒野の保安官Ⅰ」

なんでこんな砂だらけの辺鄙な荒野に来なきゃならんのか……と恨み言のひとつも言いたくなるけど、悲しいかな拒否権など無い。そんなものがあるなら最初から来ていない。そして今こうして現地に来ているということは、どこを探しても、壺を逆さに振ってみせてもそんなものは見つからなかったのだ。ああもう、嘆きのひとつでも溢したくなるけど、不幸にもそんな余裕などない。
神に見捨てられし大地、このピョルカハイム保護区では油断は死に繋がりかねない。街中で欠伸をしても棒切れを持ったごろつきに襲われるくらいなのに比べて、この地では危険で野蛮で言葉の一切通じない部族に襲撃されるかもしれないのだ。
おまけにさっきまでいた同行者たちは、蜘蛛の子を散らしたように何処かに逃げてしまった。最初から頼りになどしていないものの、こうして置いて行かれると涙のひとつも溢したくなる。愚痴も加えてふたつ、嘆きも一緒に溢せば三つ、いっそ恨み節も加えて四つにしてしまうのも悪くない。

「悲しいことに、そんな余裕はないんだけど……ああ、くそっ、畜生! なんで私がこんな目に!」

虚しい嘆きが乾いた大地に消えて行く。まったく、なんでこんなことになっているのか……。


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「わざわざこんな辺鄙なところまで来てもらって済まないねえ。君には新設の警備部隊に加わってもらいたいのだよ」
「警備部隊?」
「君さあ、今どうして私が、と思ったんじゃない? それも理解出来なくはないよ。君は優秀な魔道士、それも戦術魔道騎士団に席を並べる力量の持ち主だからねえ。そのレベルにいる者が、どうして民間人に混じって警備なんてーって思ってしまうのも仕方ないよねえ」
農機具置き場に毛が生えた程度の急拵えの事務所で、目の前の男が鼻の下で伸ばした威勢のいい髭を弄びながら、嫌味混じりなねっとりとした口調で告げてきた。この男、フィリオ・レッフェルはラステディン教会の司祭で、プランドーラ交易道に点在する駅逓街の運営者のひとり、いわゆる金とコネで成り上がった人物だ。魔道の才や人格で褒められた話は、少なくとも私の耳には一度も届いていない。でっぷりと太った不摂生な体型からして、武術や学問の方も優秀には見えない。
あと喋る度にねちゃりねちゃりと不快な音がするし、妙に語尾を伸ばす口調も嫌悪感を覚えさせる。人を不快にさせる才能は頭抜けているのかもしれない、それはそれで卑屈な種類の才能だ。
豚のように卑屈になるのは勝手にすればいいが、勝手にやっかまれるのは困る。私はレッフェル司祭の言うように戦術魔道騎士団のひとりではあるけれど、あくまでも末席。性能でいえば教会の魔道士の中でもせいぜい中の上程度だ。

「君のようなエリートからしたらさあ、退屈で歯応えのない任務かもしれないけどね。我々のような僻地の教会は余裕がなくってさあ。要するに人材不足ってやつ」
「はぁ」
だからエリートじゃないんだって。事前に届けられた書類には正しい評価が記されているはずだけど、この司祭、文字もまともに読めないのか? 今すぐ乳児院からやり直してこい。一旦余計な贅肉をすべて脳を動かすのに使え。あと痩せろ。歯も磨け、口をバケツいっぱいの水で洗え。不快な部分から生まれ直してこい。
「この支部にいる人材は、どういうわけか口ばかり達者で手を動かさないのが多くてねえ。君たちのようなエリートに来てもらわないと成り立たないんだよ」
トップが汚職で成り上がった男だから、その下にそういう人材ばかり集まるのは不思議ではない。それに駅逓街の治安は現地の自警団とシェーレンベルク騎士団から派遣された警察組織が担っているので、教会が戦力不足でもそれほど問題にはならない。むしろ重要なのは権力と財力だ、その点このレッフェル司祭は汚職の名人。賄賂から麻薬まで金になりそうな事業には必ず1枚2枚絡んでいる、表立って褒められはしないものの実に優秀な人物だ。前言撤回、もっと私腹を肥やして太ってしまえ。
「それで警備部隊とは?」
「正式には保安官、もっと厳密にいえば保護区域特殊警備部隊治安維持官。長ったらしい名前だよねえ、1回で覚えられなくても構わないからね。それでねえ、君にはこのプランドーラ交易道とピョルカハイム保護区を跨ぐ一帯の治安維持を担ってもらいたいんだよ」

なるほど、そういうことか。どうして私が呼ばれたか合点がいった。
私がギリギリ末席でしがみついている戦術魔道騎士団は、ピョルカハイム保護区の部族に対抗するための専門部隊だ。一筋縄でいかない危険な勢力への対抗手段として、騎士の中でも魔道の素質を持つ者、或いは魔道士の中で騎士と対等の白兵戦等能力を有する者を選りすぐり、高いレベルで魔法と騎士戦を両立できる精鋭を育成しているのだ。

「君たちにはかなりの金額が使われてるっていうじゃない。充分な働きを期待しているよ」
もちろん高度な人材を育成するには金がかかる。実際どれほどのものかは知らないが、おそらく通常の魔道士育成家庭の数倍、費やす時間と人手も倍以上。さらに育成終了後に支給される装備品も、高位の僧兵だけが持てるランバール銀の武具は当然として、成績次第では魔力を込めて特殊な弾丸を発射する魔法銃まで与えられるのだ。
「君たちひとり作るのに、いくらだっけ? 魔道士10人分? それくらいかかってるって聞いているよ。じゃあ、最低でも10倍の活躍をして貰わないとお話にならないから、頑張ってねえ」
自分の懐が痛んだわけでもないだろうに、書類の1枚も読めないくせに金にはうるさい男だ。しかし、あからさまに不快感を表したところで何の意味もない、この場は従順な笑顔でも向けて乗り切ってしまおう。

「お任せください。このアンリエッタ・ミース二等銃士、必ずやご期待に添えてみせましょう」
「レフティーマの猟犬の力、頼りにしているよ」
ちゃんと書類読んでるのかよ。心の中で舌を出して親指を下に向けながら、それを顔に出さないように笑顔を引きつらせた。


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その後なんやかんや手続きを済ませて民間の自警団を加えた混成部隊へと編入され、手始めに保護区の入り口まで偵察に出てみたら泥の仮面を被った集団に襲撃された。この地の部族が異教徒よりも話が通じないとは前もって聞いていたものの、まさか話が通じないどころか問答無用で襲い掛かってきて、おまけに味方の死にも動じないとは想像以上だった。
教会も騎士団も民間の自警団も、基本的には捕虜を前提にした上で行動している。武器を奪って無力化したり適度にダメージを与えて行動不能にしてしまえば、自ずと白旗を上げて投降してくれる、それが人間同士の戦いの基本であり前提条件でもあるのだ。
なので殲滅戦はそもそも想定していないし、経験値としてもそこは持っていない。死線に踏み込むとなれば無意識の内に間合いが変わるし、本来1歩も2歩も踏み込めるはずの足取りが途端に重く恐ろしい足枷へと変わってしまう。
自警団たちはその恐怖心に押し負けて、大声で喚きながら散り散りに逃げ出してしまい、残ったわずかな僧兵や魔道士たちも頑張りはしたものの、投降が許されない異質な状況では判断力も狂わされてしまう。彼らの隊長テオドール・ヴァン・タリスマンが討たれたのを合図に、あっという間に総崩れになってしまった。

以上、回想終わり! ひとり残された私は、一切の余裕のない殲滅戦から逃れるために全力で逃げている最中だ。

「ああ、くそっ、畜生! なんで私がこんな目に!」

これだからまともな戦術課程を受けていない奴を頭に据えるのは嫌なんだ。判断が遅い、技量も低い、指示も良くない、結果は言うまでもない! なにが『戦術魔道騎士がどれほどのものか知らんが、我ら生え抜きの魔道士を舐めてもらっては困る』だ! 接敵直後に死んでしまう程度の輩が偉そうに、ふざけるな!

「それにしても……事前に聞いてた情報と随分違う」
全力で馬を走らせながら振り返ると、泥仮面の狂人共はまだ執拗に追いかけてきている。やはりおかしい。部族の追跡が、いや、出没範囲が駅逓街と近すぎる。
幾ら命令を受ける身だとて、私も無策で現地に突っ込むような真似はしない。事前に教会の調査資料や報告書は読み込んできた、もちろん最新の物をだ。
半年ほど前に保護区東側の諸部族が勢力を強め、騎士団が管理していた鉱山を一部奪われてしまったのは知っている。彼らが大量の銃器をどこからか仕入れたのも、おそらくそれが教会の使途不明金で行われたことも報告に上がっている。ついでに複数の部族と外部の商人が交易を行っていて、武装も生活水準も辺境の村落くらいには発展していることも聞いている。
それにしても部族の勢力が近すぎる。これではまるで教会の方が……

「危なっ! 余計なことを考えてる場合じゃないな」
先頭の泥仮面が放り投げてきた泥の塊を避けながら、右手を手綱から放して魔道書に持ち替える。出来れば余計な戦闘は避けたかったけれど、多少の面倒事はやむを得ないか。
魔導書を手にしたまま右手を前方に突き出し、掌の前に簡易的な防御壁を作り出す。魔道士なら誰しも習得しているような基本的な魔法で、盾と呼ぶには酷く脆いものの泥ボールの軌道を変えるには充分だ。手で払うような動きに合わせて泥を受け流し、そのまま魔道書を開いて意識を集中させる。
一部の、それこそ上澄み中の上澄みとされるような魔道士を除いて、ほとんどの魔道士は魔道書を用いる。それは魔力の性質上、特に攻撃力を備えたものは媒介なしで発動させるのが極端に難しいからだ。さっきの貧弱な盾さえ私が行使できるのは1日3回が限界、これは他の魔道士と比べて多くも少なくもない平均的な回数。他にも基礎的な治癒や触れたものを痺れさせる程度の魔法も使えるものの、やはり使用上限は似たようなもの。発揮する効果の割に極端に燃費が悪いのが魔法の性質というわけだ。
ゆえに魔道士は、数百ページに渡って強化・増幅・安定などの魔法陣を記し組み合わせた魔道書を手にすることで、ようやく実戦で扱える程度の魔法が行使出来る。
「当たって!」
開いた魔道書の上に疑似的な光る球体が現れて、泥仮面の男に向かって真っすぐに飛んでいく。光球は命中すると同時に散らばって、内部に納めていた電撃を一気に全身へと駆け巡らせた。育成機関の魔道教師アルメイス・ラブロックの開発した魔法構成で、火力はそう高くないものの相手の全身を痺れさせて、しばらく動きを封じることが出来る。

先頭を崩したおかげで泥仮面たちの隊列が狂う。互いに視線を交差して意思疎通を図る隙に、私は次の一手を放った。馬に括りつけていた陶器製の弾を投げつけて、耳をつんざくような轟音を辺りに響かせる。これは火薬いじりが得意な冒険者が考案したもので、轟音弾の名が示す通り、周囲を音で威嚇する道具だ。至近距離で音の塊を受ければ意識が飛ぶし、そうでなくても急な音には本能的に体が動かされる。
泥仮面が咄嗟に後ずさりしてくれたおかげで充分な距離を稼げた。よし、このまま一気に戦線離脱だ! こんなところ二度と来るか、バカが!
馬の尻を叩いて速度を上げようとした瞬間、駅逓街の方向から数人の泥仮面が現れた。
「伏兵!? なんでそっちから……」
凶暴なだけの部族が包囲網を築いてくるとは想定していなかった。おそらく私たちは罠に掛けられたのだ、あらかじめ潜んでいた伏兵の泥仮面はわざと私たちを見逃し、自分たちの縄張りまで入ったのを確認して後衛に襲わせる。その後、散開して逃げる敵を各個撃破し、仮に相手が後衛の部隊と渡り合える強さだったら挟み撃ちにして押し潰す。単純だけど強みのある一手だ。
そしてそういう手が打てるということは、泥仮面の縄張りが教会の情報よりも拡がっているということに他ならない。

「邪魔!」
魔道書を閉じ、腰の裏に提げた短剣に持ち替える。体を右側に傾けながら馬に振り落とされないように食いしばり、ギリギリの距離にまで近づいた泥仮面の腕にすれ違いざまに一撃を加える。わずかな小傷を刻まれた泥仮面は、傷の量に似つかわしくない悲鳴を上げながらのた打ち回り、仮面の下に大量の泡を吐き出した。
この短剣には致死性の猛毒が仕込んである。柄尻を押すと柄に仕込んだ毒液が刃の内側まで上がり、刃の側面に空いた穴から滲み出す。毒は大陸南部のドクガエルの固有種から抽出したもので、わずかな量でも牛馬を昏倒させるほど強く、人の大きさで受ければ無事では済まない。教会が戦術魔道騎士団を結成する際に、暗殺用にと開発した一振りだ。
まさかこんな辺境で部族相手に使うことになるとは……まあ誰に見られているわけでもないし構わないか。

そう簡単には怯まない泥仮面も初めて目にする毒に面食らったのか、私から大きく距離を取った。その隙間を潜り抜けながら、今度こそ危険な戦場を抜け出してみせた。


◆❖◇◇❖◆


「……というわけで、保護区の状況は情報以上に酷いようです」

駅逓街に戻った私は急いで報告を上げた。相手はレッフェル司祭ではない、奴には後からきちんとした報告書を渡すけど、まず最初に告げるべき相手ではない。優秀で強い決定権を持つ人物に伝えて、もっと多くの僧兵や騎士団を派遣してもらうべきだ。
そういう意味でも妥当なのが、今まさに目の前でいる戦術魔道騎士長その人だ。ナディル・ベサリウス・オルトロック、若くして司教と同等の地位にまで上り詰めた最高傑作、その完成度の高さから魔道士の中でただひとり【ウィザード】の二つ名を持っている。
ちなみに私の二つ名【レフティーマの猟犬】だけど、スラム流に言い直したらクソ田舎の病気の野良犬になってしまうので、他人に誇れるようなものでもない。

「状況は把握した。おおよそ予想通りだな」
「え? 先生はこうなると判ってて私を派遣したってことですか?」
オルトロック騎士長は私たち戦術魔道騎士にとって教官でもある。他にも指導教官はいるものの、誰にどの技術が不足しているかを判断して、どの技術をどの段階まで鍛えるかを一任されているのは彼だ。ゆえに私たち教え子からは先生と呼ばれている。
そしてこの先生は優秀さと共に、生徒からの苦情を受け付けることがないことも周知の事実だ。
「お前は私の想定通りに状況を把握して情報を持ち帰ってくれたわけだが、何か問題があるか? 戦死した魔道士のことなら気に病む必要はない。彼は私の部下ではないし、責任の所在を求めるならばレフェル司祭だ。落としどころとしては指揮権の譲渡あたりだろう」
「なんだか可哀想ですね、私が言うことでもないっすけど」
「彼も余計な荷が下りて楽になるだろう。金勘定とガス抜きに関しては非常に優秀な男だ、こんな辺境で苦手な業務を熟すよりは、本部の汚れ仕事でも任せた方が遥かに有益だ」
あの司祭、先制が褒めるくらいには優秀だったのか。人は見た目に寄らない、いや、褒めてるようにも聞こえないけれど。

「後任はおそらくアーロン・ワイズ僧兵長になるだろう」
聞き覚えのある名前だ。確か南部で戦績を残したベテラン僧兵で槍の名手、確かにあの実戦経験のじの字もなさそうなデブ司祭よりはずっと適任だ。
「もうじき保護区は雨期に突入する、活動できない間に保安官も再編成されるはずだ。私からも何人か見繕っておこう、どのみちスルークハウゼンまで赴かねばならん」
開拓者の町スルークハウゼン、プランドーラ交易道を進んだ先にある交易拠点で教会の支部や施設も幾つか建っている。私も前に訪れたことがあるけど、一獲千金を求める冒険者と彼らを相手に一財産稼ぎたい商人たちが集まるので、情報収集や装備の調達にも、人材の発掘にも最適な場所だ。冒険者の中には傭兵稼業も兼ねる者もいるし、その辺りから補充するつもりなのかもしれない。
「人集めならギルドに任せれば済みますよね?」
「裏切り者の逮捕だ。司祭を逮捕するには司祭以上の地位が必要になる、つまりはそういうことだ。出向いたところでおそらく既に逃げられているだろうが、それはそれで構わん。どうせついでの用事だ」
あの町にいる司祭で怪しいとなるとヨアヒム・ヘイルワード司祭か。教会の中でも奇人に分類される異端者で、保護区の部族に温情をかけそうな節もなくはないと噂されている。
「本命は彼の弟だ。冒険者をやっているはずだが目を患って休業している」
「司祭の弟、確か弓の名手ですよね」
「現在は名手だったの方が正確だが、目が完治して復帰を果たせば名手に戻ることも不可能ではないだろう。彼を倒したのは腕利きの狙撃手だそうだ。その少し前に……移動距離からしてどうにも計算が合わないが、保護区の西地域でレァダス・フロストが狙撃手に討たれたのは、既に耳に届いているはずだ」
レァダス・フロスト、当然その名も末路も知っている。同じ戦術魔道騎士団で、といっても出力は雲泥の差がある。氷の魔法と同じく氷の魔法銃を得意とする怜悧冷徹な魔道士で、序列は当然末席の私よりも高い。才能に関しては十指に数えられ、順調に実戦経験を積めば未来は約束されたも同然と言われている。
いや、討たれたのだから、言われていたが正確だ。先生みたいな言い回しで気が引けるけど。

「奴を討った狙撃手とヘイルワード弟を撃退した相手、おそらく同一人物だと踏んでいる」
「でも計算が合わないんですよね?」
先生は一呼吸置いて、珍しく似つかわしくない言葉を溢してみせた。
「希望的観測だ。未開の荒野にそんな腕利きがそう何人も居てなるものか、と言いたくもなる」
「それはまあ、確かに。あんなに金と人手と時間をあんなに費やして育てたのに、未開の地の部族に狙撃されるなんて悪夢でしかない、と上の方々は考えそうですね」
「身も蓋もない言い草だが、その通りだ。個人的にはスカウトしたいところだが、教会と保護区の歴史を鑑みると十中八九断られるだろう」
戦術魔道騎士に席を並べているのは教会の純粋培養だけではない。なにを隠そう私も元は田舎の暗殺者で先生からスカウトされた側だ、理由は詳しく聞いてないけど素質を見出されたらしい。

「……んん?」
「どうかしたか?」
このまま保安官を続けるとして、ひとつ引っかかる点が頭の中に湧いてきた。そう、いわゆる不安という感情だ、心配とも懸念とも危惧ともいう。
「先生、もしその狙撃手と遭遇してしまった時はどうすればいいですか? レァダスさんを討ち取るような相手から逃げれるとも思えませんが」
先生は呼吸とも相槌とも取れそうな声をわずかに溢し、言葉を選ぶように一瞬の間だけ視線を虚空に泳がせ、
「我々はラステディン教会の所属だ。自身の裁量でどうにもならない時は神に祈るべきだろう」
毒にも薬にもならない助言を投げてくれた。
この先生の内心のすべてを知る由はないが、盲目的に神を信じているようには見えない。少なくとも都合のいい奇跡を起こしてくれるなんて甘ったれた考えは持っていない。目的のために出来うるすべてを準備して最大限の知恵と力を費やして、それでも埋められない風が吹くかどうかのような僅かな偶然。その僅かな天秤を傾けてくれるのが神の奇跡と呼ぶ。そういう風に考えていると思う。
要するに神が手を貸したくなるように入念に状況を把握して、正確に戦力を分析して、頭を常に働かせて動けということだ。

「折角の助言なので遭遇しないようにだけ祈っておきますね」
例えケチでしみったれた神であっても、そのくらいの融通は利かせてくれないと困る。せめて安全に仕事を終えられることを願うばかりだ。
そういう希望は大抵叶わないようになっているのが世の常だけど。


▶▶▶「荒野の保安官Ⅱ」


≪ユニット紹介≫
アンリエッタ・ミース
種 族:人間・平民(女、18歳、属性:雷)
体 格:162cm、50kg
クラス:魔道士(レベル20)
移 動:4↑2↓3(歩兵)/移動5↑1↓2(騎馬)
    HP 腕力 魔力 守備 魔防 命中 回避 必殺 幸運 魅力
現在値 29 10 12  8 10 20 40 18 12 14
職補正    -3  5 -2  4
装補正        1          25
成長率 40 15 45 25 40 45 15 10 30 35

【解放クラス】
旅人、戦士、騎士、僧侶、話術士

【スキル】
【個人】レフティーマの猟犬(状態異常の付与率が2倍になる)
【種族】投石(射程3、0~3ダメージの間接攻撃を行う)
【兵種】魔力解放(魔道書の射程+1)
【習得】冒険者の鞄・中(アイテム所持数+5)
【習得】騎馬(移動5↑1↓2/騎馬)
【習得】縛法(低確率で移動封じ付与)

【所持スキル】
盲目攻撃(攻撃時に低確率で盲目付与)
沈黙攻撃(攻撃時に低確率で沈黙付与)
麻痺攻撃(攻撃時に低確率で麻痺付与)

【技能】
短剣:C 剣術:C 槍術:E 斧鎚:E 鞭術:E 弓術:E 銃砲:C
体術:E 探索:D 魔道:B 回復:C 重装:E 馬術:C 学術:B

【装備】
ラブロックの書 威力15(3+12/魔法武器、確率で麻痺付与)
デンドロバテス 威力12(2+10/確定で猛毒付与)
魔道士のマント 回避+25、魔力+1

【所持品(3+5)】
ハイポーション×1、アポセカリー×1、針×1、カンタレラ×1、閃光弾×1、轟音弾×1、ガラスの剣×1、マルクレール掌銃×1

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