投稿

6月, 2026の投稿を表示しています

モグリール治療院外伝 ― ルチ・フォナ ―

イメージ
モグリール治療院外伝 ―ルチ・フォナ― < 部族の少女と部族の人たちが物騒な冒険を繰り広げるサイドストーリー > ▶ 第1話「人食い部族に囲まれて生贄に捧げられそうになった話」 ▶  第2話「族長が夢に出てきた話」 ▶  第3話「ウミガメのようなスープを食べる話」 ▶  第4話「勇敢なヒルチ戦士と臆病な人間の話」 ▶ 第5話「紙と筆で理想を語り、鉄と火薬で現実を綴る話」 ▶ 第6話「広いようで狭い荒野と砂漠の話」 ▶ 第7話「巨大な人食いサメが砂漠を泳ぐ話」 ▶ 第8話「暴れ牛と挑む泥んこ奇祭の話」 ▶ 第9話「大地を駆ける鉄の馬車と田舎のおのぼりさんの話」 ▶ 第10話「鉄道の隣では烏賊が走っている話」 ▶ 第11話「部族の少女が“人間”の町に踏み込む話」 ▶ 第12話「せっかく都会に来たから下水道のワニを捕まえる話」 ▶  ≪データフェチに送るルチ・フォナ外伝データ集≫ ▶ クラス表 ▶ クラスチェンジ表 ▶ アイテムリスト(武器編) ▶ アイテムリスト(防具・装飾編) ▶ アイテムリスト(消費アイテム編) ▶ 部族図鑑 ※モグリール治療院本編はこちらから もぐれ!モグリール治療院 ※その他の小説はこちら 小説一覧

ルチ・フォナ外伝 第12話「せっかく都会に来たから下水道のワニを捕まえる話」

ベメ・ゲミュビハ、ドゥイ! ルーオ・デモフ・スェボミ・リベレルテ、ドゥン・モラ! ……と言われたところで、ヒルチヒキ族を含めたピョルカハイム保護区諸部族の言語体系を知らないとさっぱりわからないと思うので、いわゆる標準語に翻訳しよう。冒険者ギルドから町内清掃の仕事を紹介されたので、郊外の大きめなどぶ川に来ている。 本当はみんなで来るつもりだったけど、ノルンはヘイルワードとかいう教会の偉い人と面通しが出来るように忙しそうにしてて、カラは掃除なんてしてられるかと教練を受けに行った。ヤクシ兄さんは変に目立つと気の毒なので、宿で留守番ついでに洗濯や武器の手入れをお願いしてある。 そういうわけでこの場は私ひとり、正確には他の冒険者たちもいるからひとりではないけど、実質私ひとりといった状況だ。 町内清掃は文字通り市街地や郊外の掃除だ。普段乱暴者や不審者に思われがちな冒険者たちが、ゴミを拾ったり雑草を刈ったりして住民たちからの印象を良くして、ぼくたち危ないものではないですよーと猫を被るのだという。実物の猫を頭に乗せた方が話が早い気もするけど、世の中には致命的に猫に好かれない人間もいる。なにを隠そう私もその類で、不思議と昔から猫にはよく唸られるし、犬にもよく吠えられる。他のヒルチヒキ族は血の臭いのせいって言ってたけど、血の臭いなら仕方ない。精霊に生贄を捧げないのは、飼い猫に餌をあげない以上の大罪だ。大事にしていこう、精霊も、猫も。 「ふしゃぁー!」 そんな風に思っていても、通りすがりの猫は私を見た途端に牙を剥いて威嚇してくる。懐かれないものは仕方ない、そこまで無理して好かれようとは思わないし、頭に猫は被れない。 そんなことより今は掃除だ。この町内清掃、受付のお姉さんが言うには結構おいしい仕事だったりするらしくて、街路の掃除でもお金を拾えたりするし、酒場街なんかだと酔っ払いが落とした財布が見つかったりする。河川清掃、いわゆるどぶさらいだと交易船がうっかり落とした積み荷とか、誰が落としたのか美術品や骨董品、果ては武器なんかも拾えることがある。さすがに下水道にはうんこと生ゴミくらいしか落ちてないけど、スルークハウゼンには開発途中に勝手に作られた秘密の地下道や隠し部屋もあるらしくて、運が良ければそういう場所が見つかるかもしれない。巧妙に隠された場所ならお宝のひとつもあるに違いない。 というわ...