もぐれ!モグリール治療院 第6話「たまには早起きしてみよう」

私に限らず冒険者になるような奴らの朝は遅い。もし毎日ちゃんと早起き出来たり、時間通りに待ち合わせ場所に来れるような奴なら、冒険者になんてならずに町役場とか商店とかで働いてると思う。もしくは衛兵になったりするとか。とにかく冒険者というものは朝に弱いのだ。
もちろん危険が迫ってるのにいつまでもぐーすか寝てるような間抜けではない、ノルドヘイム育ちの私は常に飢えた獣が歩いてるような場所で育ったこともあって、敵意というものには人一倍敏感だし、ちょっとした物音でもそこに戦意や悪意がわずかにでも混じれば、弓の間合いより遠くでも目を覚ます自信がある。
しかしそんなことでもなければ朝はなるべく寝ていたい、これはきっと日々の獲物が得られるかわからない暮らしの中で培った体力節約の賜物で、私も育ちが育ちなら毎朝きちんと起きて、なんだったら朝から目玉焼きとパンを焼くようなお嬢様にだったに違いない。
寝言は寝て言えだと? 失礼な、私はまだ布団から出ていないぞ!

「ヤミー、起きる。遅れる、仕事、始まる」
「おなか空いた! 仕事終わらせてごはんごはん!」
同じ部屋で寝ていたはずのルチと、女ウェンディゴのウストムィに頬をつねられながら起こされる。ふたりとも育ちは私と同じくらい野性味に溢れているはずなのに、どうしてそんなに早く起きれるんだ? さては、なんかズルしたな?
「してない。ヤミー、遅いだけ」
「強いていえばおなか空いた」
はいはい、私が起きるのが遅いのは否定しないよ。そんな私がまだ夜も明けきらない内から起きて、ギルドに紹介された仕事を片付けるために寝床を抜け出して……正確にはふたりがかりで引っ張り出されて、スルークハウゼンの城壁の中へと向かっている。
まったくこんな時間から仕事だなんて、みんなえらいな。よくわからん賞とか上げたらいいと思う。早起きでえらいで賞みたいなの。

「くわぁ……こんな時間からご苦労さん」
城門の衛兵も眠たそうに欠伸をしながら、仕事だから特別だぞと普段は入れないウストムィの侵入を認めて、再び大きな欠伸を噛み砕いた。夜も見張りだなんて衛兵も大変だ、衛兵にも遅くまでえらいで賞とかあげたらいいと思う。
まだ空も黒々とした夜明け前の、酒場の明かりさえもほとんど消えたスルークハウゼンは、ごく一部の街灯がぼんやりと灯っているくらいで心地よい夜に包まれている。そんな薄暗い静かな街中の、ところどころで道端で眠る酔っ払いの歯軋りと、コツンコツンと窓を叩く音だけが響いている。
冒険者ギルドの外壁や騎士団の詰め所、教会なんかには備え付けてある時計だけど、一般の庶民にまで普及するにはまだまだ高級品で、時計塔みたいに朝昼夕の決まった時刻に鐘を鳴らす機能を備えたものなんて、それこそ個人で持つには金持ち貴族の道楽の域にある。
そんな貧しき庶民たちを起こすのが、このコツコツと窓を叩く音。ノッカーアップの仕事だ。

ノッカーアップは先端に布袋を結んだ竹製の長い棒で窓を叩き、目を覚ました依頼人からわずかな銅貨を袋に詰めてもらう中々に大変な仕事だ。中には意地悪で石なんかを詰める人もいて、そういう時のために火炎瓶を1本2本常備しているんだとか。スルークハウゼンで最も多いボヤ騒ぎはノッカーアップの仕返しで、1枚の銅貨を出し渋ったために家財道具を失った愚か者までいたりする。それでも払いたくない者は払わない、という鋼鉄のような意思を持って石を詰めるのも、また人間らしいといえばらしいんだけど。
そんなノッカーアップたちからの依頼がギルドに届き、最近仕事をしていると妙な二人組の酔っ払いに絡まれるんだとか。そいつらはカストリとシケモクという悪い意味で有名なコンビで、カストリは異常に気が短くて凶暴な狂犬みたいな男で、シケモクはその倍は絡みにくい性格をしているらしい。
カストリとシケモクは夜な夜な繁華街に出向いては、酔っ払いに因縁を吹っかけて酒を奪い、明け方までさんざん人の金で飲み散らかして、さらにノッカーアップにうるさいと苦情を入れながらわずかな賃金まで奪うというのだ。なんという人でなし共だ、他人のお金でごはんを食べるとかうらやま……許しがたいにも程がある! なんとしてでも見つけて、金を奪って酒とごはんを奢らせないといけない!


というわけで、私とルチ、ウストムィは夜明け前のスルークハウゼンへと繰り出しているのだ。ほんとはもっと人数を集めたかったけど、流石にゴブリンは駄目ですってギルドから断られ、サイクロプスのでっぷりはオークのピギーとゴーレムを連れてどこかの調査に出向いてるし、ヤーブロッコはそんな時間から働いてられるかって断ってきた。他にタコと羊もいるにはいるけど、なんかめんどくさいから置いてきた。
「あ、冒険者のみなさんっすね! よろしくお願いします……って、なかなか愉快なメンツっすね!?」
私たちが見つけたノッカーアップの少女は、こんな明け方に相応しくないくらい元気な声の持ち主で、名前はキキ・リッキー。年は私やルチと似たようなもので、おそらく貧しい家計を支える親孝行な勤労少女に違いない。
「いやー、博打で負けちゃって、その借金返すために仕方なくっすね!」
前言撤回、親不孝な勤労少女だった。でも働いてるだけえらいと思う、だって借りたお金なんて返さなくていいんだから。わざわざ悪用しようとも思わないけど、借金なんてものは相手が取り返そうって思わなくなるまで、顔の形を変えてしまえば返さなくてもいい仕組みになってるので、わざわざ働いて返すことないのだ。いや、私は特に間違ったことは言ってないよ。ごく普通の法律の話をしてるだけで。

「おーい、旦那ぁ! 起きてくださいっす!」
「……うるせえなあ、今日もご苦労なこった」
キキが竹の棒で叩いた窓から鳥の巣みたいなもじゃもじゃ頭の男が顔を出して、棒の先の袋に銅貨を1枚2枚入れて、今にも寝てしまいそうな大きな欠伸を顔中に広げている。
「ねえ、あれ二度寝するんじゃない?」
「そこまでの面倒は見ないっす。私の仕事は起こすところまでなんで」
なるほど、確かにそこまで面倒見てあげる必要はない。むしろそこまで仕事に組み込むなら、その分の給料をもらうべきだ。
「ま、モグの旦那は1回起きたら大丈夫な人なんで問題ないっす。でも、中にはいるんすよ、ほんとに起こしたのかって怒るネボスケなんかが」
ちなみに元々は月に1度まとまったお金を受け取ってたらしいけど、二度寝の横行で起こした起こしてないの揉め事が多発したから、その場で受け取る方式に変わったのだとか。
まあ、そのせいで呼んでもいない輩がら現われるわけで、あっちを立てればこっちが立たずってやつだけど。

「おじさん、夜明け前っすよ! 起きてくださいっす!」
「……えー、もうそんな時間かい? まだ寝てたいのに」
次に起こしたのは気怠そうな雰囲気の中年男で、キキが言うにはパン屋で働いてるんだとか。なるほど、パン職人の朝は早い。みんなが起きるくらいには焼き立てのパンを並べ始めなきゃいけないんだから、もう朝より前に起きる時点から仕事は始まっている。
「パンの匂い! おいしそう!」
ウストムィが食欲に負けたのか、壁をよじ登って窓枠へと手を伸ばし、
「パン! パン、食べたい!」
「うわぁ! ウェンディゴ!? なんで!?」
頭に生えた鹿のような角で驚かせて、すっかり目を覚まさせた。おじさん、大丈夫、そのウェンディゴは人は食べないから。食べないよね? おなか空かせてるから、ちょっと自信ないな。

「あねさん、朝になるっすよ! お祈りの時間っすよ!」
「……やだ、まだ寝ていたい。神なら休暇を取った」
窓から顔を出したのは教会に勤める修道女らしいんだけど、教会関係者は酒を禁止されているのに、髪の毛にも体にもしっかり酒の匂いが残っている。どうやらこの酒くささを隠すために、他の修道女より早く起きてるらしい。
神に仕えるのも大変だ。もし説教とかされたら酒瓶で殴ったらいいと思う。
「キキ、あたしが断言するわ。今日は神は休み」
「神は休みとか取らないし、早くそのにおい、なんとかするっすよ!」
修道女は袋に銅貨を入れたところで、ようやく目を覚ましたのか、火を起こしてお湯を沸かし始めた。


それにしてもキキは顔が広い。スルークハウゼン生まれなのと、人懐っこい性格も関係してるんだろうけど、ノッカーアップの仕事をしている内にどんどん見知った顔が増えていったのだとか。私なんかこの町に来てからというもの、増える知り合いが中年のおじさんばかりな気がするんだけど、これは普段の行いが悪いのかな? いやいや、私はお行儀よくしてるよ、周りがそうさせてくれないだけで。
「いや、私も知り合いの中年率高いっすよ! 客の9割は中年のおじさんっす!」
ということは、もしかしたらスルークハウゼンの9割は中年のおじさんなのかもしれない。そんなわけないけど、そうだったら怖いなってちょっと思った。数十年後に滅ぶ町だ、そんなわけないんだけど。
なんてどうでもいいことを考えながら、たまに夜明け前から精を出す物乞いや夜明け前まで飲んでいた酔っ払いをあしらったりしていると、ガシャンと酒瓶を叩き割ったような音が静かな街中に響き渡る。
こういう音を立てるのは、決まって粗暴ですぐに人を殴るような輩なのだ。もちろん私はすぐに人を殴ったりしないよ、仮に殴るとしたらそれは殴られる奴が悪いのだ。

「おうおうおうおう、朝っぱらからやかましいのう!」
「迷惑料として出すもん出してもらおうやんけ」
路地の向こうからやってきた二人組は異様な風体だった。ひとりは女みたいに長い髪を瞼の上で切り揃えた、背の高い骸骨のような男で、腰には投擲用の大振りの斧を堂々とぶら提げている。もうひとりは短く刈り上げた頭に凶暴な顔の貼りついた、さらに大柄で腕も胸板もすべてが分厚く、その背には身の丈ほどもある鋼の大斧を担いでいる。あと、どちらも目に染みるような安酒のにおいが全身にまとわりついてる。
手配書が間違ってなければ大柄の男がカストリで、細身の長髪がシケモク。元々は鉄等級の冒険者で、あまりの素行の悪さに除名された上に討伐依頼が出てたりするものの、生半可な強さでは手出しするわけにもいかず、かといって銀以上の大物でもわざわざ相手にして怪我を負うのも馬鹿馬鹿しいので、なんか絶妙な位置で生き残り続けているギルドの頭痛の種。
「おいこら、チビッ子軍団、殴られたくなかったら金出せや!」
「なかったら借金してでも作ってこんかい!」
出会って数秒で金を要求してくるこの態度、悪評通りのクソ野郎共だ。

私が有無を言わさず腰に提げたウォーハンマーを抜き、手前にいたシケモクの眉間めがけて振り上げたのと同時に、相手も問答無用といわんばかりに腰に提げたトマホークを掴んで、私の顔めがけて叩きつけてきた。相手の都合なんか関係ない、気に食わなかったら即殴る、みたいな思考をしてない限りは間に合わない反応。この男、私と同じ思考回路で攻撃してきたのだ。
「……っぶな!」
「……マジか、こいつ」
咄嗟に大きく上体を傾けたおかげでトマホークは私の顔を掠めて空を切り、ウォーハンマーはシケモクの眉間から外れて頬を打ちながら通り抜けていった。どちらも決定打とはならなかったけど威力の天秤は私に傾いた。ぐらりと頭を傾けた隙を突いて、身を捩りながら遠心力を乗せて、シケモクの脇腹に思い切り撃ち込んだ。
「おいおい、お前、女に負けとるぞ! なっさけないのう!」
「やかましい! だったらお前やってみろや! このガキ、並とちゃうぞ!」
細く見える体格の割に撃ち込んだ感触は、みっちりと詰まった木の幹のようだった。さすがにダメージがないってことはないけど、しっかりと鍛えてて、骨を砕くにまで至らない。でも体の強さに自身があるのか単に酔ってるからなのか、さっきから避ける素振りを一切見せない。
私の一撃なんて避けるまでもないって言いたいのか、生意気な!

「だったら交代せえ! わしがやったるわい!」
「アホか! お前は他のチビッ子共から金巻き上げとけや! こんな美味しい得物、わざわざ渡すかい!」
「ルチ、ウストムィ、でかいのは任せた!」
立て続けに怒鳴り声が響き渡った途端に、ウストムィはキキを連れてデカブツから遠ざかり、ルチは街灯を器用に伝って屋根の上に陣取り、銃を構えて狙いをつけた。ダンっと勇ましい音と共にルェドリア銃が火を噴き、カストリの肩の肉を削り取る。
「痛いんじゃい、小娘! 降りてこんかい!」
「肉、多い。仕留める、一撃、難しい……」
やっぱりカストリも避ける素振りを見せない。そんな豆鉄砲、避けるまでもないとでも言いたいのか! ほんと生意気だな、こいつら!

振り下ろしたウォーハンマーと横に薙いだトマホークが、甲高い音を立ててぶつかり合う。
必ずしも体が大きくて筋力が強い方が勝つ、というわけでもないけど、単純にでかくて重くて筋肉が多いのはわかりやすい強さの証だ。馬鹿正直に打ち合ったら体格と筋力で劣る私の方が押し負けるし、より大きい方が後に控えてるって考えたらこいつ相手に消耗するわけにもいかない。
後ろに跳び退きながら大きく息を吸い込んで、シケモクの致命的な隙を作り出す動作へと移った。こいつのトマホークは投擲用にも使える武器だ。まともに振っても届かない場所を位置取れば、必ずどこかで投げるを選ぶ時が来る。手から武器が離れた瞬間が最大の勝機なのだ。
「おおりゃあー!」
私は近くの民家の壁を蹴りながら駆け上がり、窓枠を掴んでシケモクの頭上に陣取る。その瞬間、狙いやすいと踏んだ狂犬はあっさりと餌に喰いつき、投げつけた斧は私を掠めながら壁に突き刺さり、がら空きの頭に重たい鋼鉄の塊が振り下ろされた。

「なあにやっとんじゃい、バカ助が!」
銃弾を何度も受けながら屋根の上に登ったもうひとりの狂犬は、さらに巨大な鋼の大斧を振り回してルチを銃越しに吹き飛ばしながら、呆れた表情を浮かべて屋根から身を乗り出す。
その時だ、地面から竹の棒に武器を括りつけたキキが、身を乗り出したデカブツに鎖分銅を括りつけて引っ張り、その隙を突いてウストムィがルチを抱えて屋根の上を飛び移る。
「ルチ! 大丈夫!?」
「……大丈夫、じゃない。銃、壊れた。許さない、皮、剥ぐ」
どうやらルチは無事なようだ。負け惜しみを言える間は元気な証拠、とりあえず離れたところで休んでるといい。その代わり、私の子分に手を出したデカブツはその命で償ってもらうけど。
キキに引っ張られて体勢を崩したデカブツの足下にめがけて、ウォーハンマーを思い切り振り回す。足を掬われる形で脛を殴られたデカブツは屋根の上から転がり落ち、
「誰にバカぬかしとんや、ボケコラァ!」
地面に激突した瞬間、無防備な胸板に向けて、頭から血を噴き出しながら吠えるバカ助のトマホークが放たれた。おいおい、こいつもまだ動けるの? 勘弁してよ、しんどい……。
とはいえ、さすがに致命傷だよねと思って様子を見てたら、
「気が狂ったんか、こんのバカ助!」
「やかましい、お前がバカ言うからやんけ!」
お互いに血がドバドバ流れてるのに殴り合いなんか始めて、やがて血を流し過ぎたのか足腰が立たないくらい疲れ果ててしまい、べたりと地面に座り込んでその辺の小石をぶつけ始めた。

「おい、小娘! 続きはまた今度な!」
「おう、ションベンくさいガキは帰れ帰れ!」

私は犬でも追い払うように手を振る狂犬ふたりに笑顔を向けて、奴らの落とした鋼の大斧を渾身の力でぶつけてみせた。


◆❖◇❖◆


「いやー、あいつら倒すなんて惚れ惚れする強さっすね! 私もヤミーちゃんのとこに世話になろうかな!」
「うちは来る者拒まずだからいつでも来ていいよ」
「じゃあ、よろしくっす! スルークハウゼンから離れる気はないから、レイドって形でお願いするっす!」

あれから数日、私は引き続きキキやノッカーアップたちの護衛を引き受けている。カストリとシケモクはあの後、衛兵に捕まって牢屋にぶち込まれたけど、他の似たような輩が因縁のひとつもふかっけてこないとも限らない。なんせ夜明けという時間帯は、いつも以上に酔っ払いと気が立った連中が多いので、私みたいなそれなりの腕利きが睨みを利かせるくらいで丁度いいのだ。
カストリとシケモクを倒したという噂は思った以上に効果的で、私の姿、厳密には私の纏う狼の毛皮を見かけたら自然と酔っ払いも道を開けてくれるし、なんだったら目を覚まして大人しく家に帰ってくれるようになった。
歩いてるだけで報酬が貰えるなんていい仕事だなーって機嫌よく歩いていると、
「げっ、なんであいつらいるんすか!?」
「あいつら? あ、ほんとだ。なんでいるの?」
全身に包帯を巻いた姿の、どこかで見覚えのあるデカブツと長髪が路地の向こうから堂々と大股歩きで近づいてきたのだ。

「おう、お嬢! 今日も元気そうやんけ!」
「元気そうやのう! さてはお嬢も不死身か!」
おまけに馴れ馴れしく話しかけてきた。数日前に命のやり取りをした相手とは思えない態度だけど、まずは聞きたいことがひとつある。
「お前ら、捕まったんじゃなかったの?」
「ああ? そんなん無罪に決まってるがな」
いや、あれだけ暴れて無罪って、この町の法はどうなってるわけ?
訝しむように狂犬たちを見ていると、デカブツがくっしゃくしゃの紙切れを突きつけて、読めもしない文字をバッサバッサと振り回しながら指差して、
「ほら、見てみろや。騎士団長の名前で無罪放免って書いとるじゃろ」
「高い金払ってクアック・サルバーに頼んでた甲斐があったわ」
けたけたと上機嫌で笑ってみせた。

「……クアック・サルバー? 誰それ?」
「なんか聞いたような名前っすね。誰からだっけ?」
私とキキが首を傾げていると、狂犬ふたりはゲラゲラと品のない笑い声をあげて、
「そうだ、お嬢! クアック・サルバーとの契約で、わしらもパーティーに入ってやることにした!」
「感謝せえよ! 俺らレベルの喧嘩屋、滅多におらへんからな!」
これまたくしゃくしゃになった紙を取り出して、冒険者ギルドの再登録も済ませたと言ってのけた。これ見よがしに真新しい銅製のドッグタグまで首に掛けてる。どうやらギルドを除名されて登録し直すと、また新人として1からやり直すことになるらしい。除名自体、そうそう無いことだと思うけど……いや、除名されても戻れるものなの?
「おうよ、それもクアック・サルバーのおかげよ」
「俺ら、今日からラブとピースって名前にするわ」
お前らの名前はカストリとシケモクだよ、なんせ風貌がそう言ってる。


こうして私のパーティーに新しく狂犬ふたりと元気娘が加入したんだけど、あのさあ、私の知らないところで勝手に進められても困るんだけど? どういうこと?
クアック・サルバーとかいう奴、1回会って話し合っておかないと……拳で!


NEXT「酒場に繰り出してみよう」


≪加入ユニット紹介≫
キキ・リッキー
種 族:人間(女、16歳)
クラス:ノッカーアップ(レベル11)
    HP 腕力 魔力 守備 魔防 命中 回避 必殺 幸運 魅力 移動
能力値 23  7  5  5  6 13  8  2 13  3  3↑2↓3(歩兵)
成長率 35 30 25 20 20 30 35 25 30 20 

【技能】
短剣:E 剣術:E 槍術:E 斧鎚:E 弓術:E 体術:E
探索:E 魔道:E 回復:E 重装:E 馬術:E 学術:D

【装備】
フレイル 威力18(8+10)
鳥の巣  睡眠耐性上昇

【スキル】
【個人】三千世界の烏(次ターン開始時に自身の睡眠解除)
【基本】幸運+5
【補助】モーニングコール(周囲3マス以内の眠り状態に陥った味方を自動的に起こす)
【補助】ノックアップフレイル(直接攻撃の高さ+2)
【??】
【??】


カストリ
種 族:人間(男、36歳)
クラス:ヴァリャーギ(レベル18)
    HP 腕力 魔力 守備 魔防 命中 回避 必殺 幸運 魅力 移動
能力値 40 25  2 10  2 16  0 15  5  1  4↑2↓3(水上)
成長率 70 50  5 10 10 30 25 30 15 10  

【技能】
短剣:D 剣術:D 槍術:D 斧鎚:B 弓術:E 体術:E
探索:D 魔道:E 回復:E 重装:E 馬術:E 学術:E

【装備】
鋼の大斧 威力45(20+25)
怪力手袋 腕力+1

【スキル】
【個人】不屈の野獣(戦闘不能ダメージを受けても1度だけHP1で耐える)
【基本】腕力+2
【下級】ウォークライ(1ターンの間、自身と隣接ユニットの腕力+2)
【中級】海上戦(地形が海上/水上の時、命中・回避+10)
【上級】酒宴(戦闘終了まで回避を0にする代わりに守備+3)
【??】


シケモク
種 族:人間(男、36歳)
クラス:ヴァリャーギ(レベル18)
    HP 腕力 魔力 守備 魔防 命中 回避 必殺 幸運 魅力 移動
能力値 38 23  2 14  4 16  0 19  4  2  4↑2↓3(水上)
成長率 55 45 10 15 15 35 30 35  5 15 

【技能】
短剣:D 剣術:D 槍術:D 斧鎚:B 弓術:E 体術:E
探索:D 魔道:E 回復:E 重装:E 馬術:E 学術:E

【装備】
トマホーク 威力36(13+23)
怪力手袋  腕力+1

【スキル】
【個人】不遜な態度(攻撃した相手の方がレベルが高い場合、ダメージ+1)
【基本】腕力+2
【下級】ウォークライ(1ターンの間、自身と隣接ユニットの腕力+2)
【中級】海上戦(地形が海上/水上の時、命中・回避+10)
【上級】酒宴(戦闘終了まで回避を0にする代わりに守備+3)
【??】

このブログの人気の投稿

もぐれ!モグリール治療院

三界廻って碗

小説・目次