ルチ・フォナ外伝 第13話「交渉という名の机下の殴り合いの話」
半ば異端者扱いされているとはいえ腐っても教会の高位の司祭、拝謁の機会を得るのは困難だと思っていたのですが、意外にもあっさりと許可が貰えました。懐が大きい方なのでしょうか、それとも豪胆な性格なのでしょうか。まさか油断しがちな間抜けということはないでしょうが、なんにせよお目通りが叶うのは私たちには好都合です。
すんなりと支援を受けられるとは思いませんが、交渉のテーブルに着く姿を見せればルチさんたちから信頼を得られるでしょうし、仮に支援まで辿り着けなくても誠意は汲んでもらえるでしょう。理想をいえば資金や武器の調達、そこまで行けなくとも活動のための後ろ盾……最悪ヨアヒム・ヘイルワード氏の名前を借りれるだけでも価値はあります。ラステディン教会はシェーレンベルク騎士団と並ぶ権威の巨頭ですからね。
「ルチさん、そろそろ行きますよ」
「ノルン、交渉の服……これ?」
ルチさんがひらひらしたスカートを不満そうに摘まんでいます。私だって普段の冒険者風ではなく見栄張って令嬢みたいな格好してるんです、ルチさんも我慢してください。大丈夫、どこからどう見ても育ちのいいお嬢様ですよ。
「ヒルチヒキ族の服、着たい」
ルチさんの言うことも一理あります。今回は私は諸部族解放同盟の使者として、ルチさんはヒルチヒキ族の大使として赴くわけですから、部族の伝統的な装束を纏うのも悪い手ではありません。しかしヘイルワード氏からの印象を少しでも良くするためにも、ヒルチヒキ族は決して野蛮な部族ではなく、文化的で友好的な部族だと思わせる必要があります。公式の場ではこちら側の文化を受け入れる度量を見せる必要があるわけです。
それにヘイルワード氏と顔を合わせる前に、教会の衛兵や僧兵に摘まみ出されては意味がありませんからね。獣の頭蓋骨を被って無駄骨になってしまうなんて、それこそ笑えない冗談ですよ。
とはいえ話の流れではヒルチヒキ族である証明も求められるかもしれません。
手荷物の中にルチさんの普段着といつも顔に塗ってる白い染料、それと頭に被っている獣の頭蓋骨、向こうの暮らしで使っていた石器のナイフや道具、この辺りは用意しておきましょうか。
「着ていった方が早い」
「そこは臨機応変にお願いしますね。その干し肉はやめておきましょう!」
どさくさに紛れてルチさんが干し肉を入れようとしたので、しっかりと制しておきました。さすがに人間の肉は駄目です。ひどく場が荒れる未来しか浮かびませんから。
「さあ、行きましょう」
付け焼き刃とはいえ拝謁まで1週間ほどの猶予を頂けたので、図書館に籠ってひたすら氏の論文を読み漁っておきましたから。まったく話についていけない、という事態は防げるでしょう。
私が籠っている間、ルチさんが思いのほか大金を稼いでいたのには驚きました……下水道の掃除で拾ったそうですが、実は犯罪に手を染めた金だったなんてことはないですよね?
「合法、問題ない」
「ならいいですけど」
おかげで予定以上に綺麗な衣装も用意出来ましたから、非合法でなければ文句はありませんよ。
◆❖◇◇❖◆
ラステディン教会スルークハウゼン第4支部、通称ティンバーベルズ聖堂。礼拝堂と告解室、懺悔室、騎士団や行政機関と語り合うための客室、司祭や僧兵たちの住居や食堂が一体化した複合施設で、異端者を見張るにも異端者が身を隠すにも都合のいい場所です。
建物自体は比較的新しく、おそらくまだ30年と経っていないでしょう。人間の祖である神人バスコミアナの聖遺物を祀っているらしいですが、こうも新しいところだと真偽の方は疑わしいですね。バスコミアナの実在そのものも疑わしい話ですが、この場では口が裂けても言えないことです。
郷に入っては郷に従えといいますし、今日この日に関しては教会の宣うことには全て首を縦に振っておきましょう。
「ノルン・マイグラード女史とお連れの方ですね。お待ちしておりました」
「はい、今日はよろしくお願いします」
聖堂の入り口を固める僧兵に愛想よく挨拶して、ルチさんと一緒に中に入れてもらいました。ヤクシさんはさておき、カラさんは腕も立つし目立たないので同行して欲しかったのですが、どうやら他の用事で外しているようです。
「鬼が出るか蛇が出るか、どっちでしょうね」
「教会の人間、オーガ? 蛇?」
「……物の例えです。相手は人間ですよ、おそらく」
信仰対象の違うエルフやドワーフの可能性は無いでしょう。もちろんオークやゴブリン、オーガのはずもありません。彼らのことは詳しくありませんが雇われたり手を組むまではしても、その一線は踏み越えてこないでしょう。
私たちが通されたのは庶民相手には上等すぎる客間で、ガラスで覆われた棚の中には年代物の葡萄酒が並んでいて、その横には銀製の杯や皿が丁寧に積み重ねられています。書類棚の上にも高価そうな壺や真鍮の燭台、香炉もありますし、客人の好みによって酒や香りを楽しませるのでしょう。
もしかしたらルチさんが人の皮と注文すれば出てくるかもしれませんが、本当に出たら怖いので黙っておきましょう。
そんなことより今は交渉です。確か礼儀作法の教本によると、相手が入室するまでは椅子に腰掛けない方がいいんでしたっけ? 座っていてもすぐに立てば問題ないとも書いていましたが、立って待っていた方が誠意も伝わりそうで無難でしょう。
ルチさんは早々に座ってしまいましたので、私も合わせて腰を下ろすことにしましょうか。
などと逡巡していると、目の前の扉が静かに開いて初老というほど老いてもなく、青年と呼ぶには年を重ね過ぎた気さくそうな男性が入ってきました。その左右にはルチさんと大差ないくらい小柄な青年と、随分と背の高い女性が警戒心を漂わせながら控えています。年の頃は私たちよりは上、重ねていても二十代前半といったところ。もしかして護衛でしょうか? 教会であればもっと屈強でいかにも護衛らしい僧兵もいるはずですが、異端扱いの者にはこんな物で充分といったところなのでしょうか。
「いやー、待たせちゃったね、お嬢さん方。初めまして、ヨアヒム・ヘイルワードです」
中央の若いとも老いているとも言い難い男性が、気心を許してしまいそうな笑顔を浮かべながら、私たちに手を伸ばしてきました。握手を求めているのでしょう、ここは失礼の無いように優しく包むように握り返して、軽く浅く頭を下げておきました。
「この度はお招きいただきありがとうございます。私は、ラステディン教会マールベルリー第2支部レオーニ・ベルフ民族調査隊所属、ノルン・マイグラード二等調査員です。こちらはピョルカハイム保護区ヒルチヒキ族のルチ・フォナさんです」
「ああ、レオーニ教授のとこの子かー、なるほどなるほど」
「ご存じなんですか!?」
しまった、これは失策かもしれません。レオーニ・ベルフ教授と懇意な間柄であれば、もしかしたら教授たちが命を落とした経緯を調べているかもしれません。いや、調査隊の生存者は私だけですし、あの場で救助が来なかったので目撃者すらいなかったと思い込んでいましたが、別の隊が遠方から目撃していて救助を諦めていた可能性もあるのかもしれません。
「レオーニ教授は神学の師でね。あいにく要領があまりよくない方だったから、すぐに私の方が高い地位に上ってしまったが、まあ善良な人だったよ」
いまいち関係性を測りかねますね。念のため言い訳と土下座の準備だけはしておくとしましょう。
「レオーニ教授のことは残念だったが、ピョルカハイム保護区内での調査は危険が伴う任務だ。彼が亡くなったことは仕方ない。ノルン君だっけ? 君が無事に生還できてなによりだ」
ヘイルワード氏が右腕を小さく掲げると、左右に控えていた若い男女がてきぱきと動いて、杯にハーブを溶かした水を注いでくださいました。護衛かと思っていましたが召し使いのような立場なのでしょうか。教会も高位の司祭ともなると、身の回りの雑用をこなす使用人がいても不思議ではありません。
「さて、ノルン君。所属する支部も異なる君が、あえて私を訪ねてきたんだ。もしかしたらレオーニ教授の顛末を報告に来てくれたのかとも考えたが、どうやらそれも違う。君は教授と私の関係は把握していなかったからね。であるならば目的は別のところにある……そうだな、例えばティンバーベルズ聖堂に異動したい、とかね」
「非常に魅力的な話ですが、違います」
ヘイルワード氏は掌を上に向けて、杯に注がれたハーブ水を飲むように勧めながら微笑み、
「だろうね、もしそうならばひとりで来ればいい。客人、それもピョルカハイム保護区の部族のお嬢さんと連れ立っての来訪だ。目的は彼女の庇護、或いは私の論文に関する話だろうね」
そう語りながら人差し指と中指を順々に立てていきました。
「はい。ヘイルワード司祭の提唱するピョルカハイム保護区の諸部族への権利付与、私、まだ見習いに等しい若輩者ではありますが非常に感銘を受けました。私はヒルチヒキ族に保護されて、彼らの暮らしに混ぜてもらうことで、彼らが野蛮とされる風習を持つものの、決して話の通じない理性のない怪物のようなものではなく、我々と同じように慈愛の精神を持ち他者を思いやり、歌や詩を愛し、文化的な活動を行う人間なのだと理解しました」
これに関しては嘘ではありませんが、あくまでも『ルチさんは』という前提が付きます。他のヒルチヒキ族の方々は正直不明です、いや、ルチさんに関しても詩を愛する要素は欠片もありませんが。ですが、これくらい盛っておいた方がいいのです、あくまで私の感想の範疇ですから。
「同じ人間なのですから当然彼らの権利は保証されるべきですし、彼らが安心して少しでも豊かに暮らせるように支援するべきだと考えました。しかし私は富も権力も持たない一介の調査員です、そこで」
「私に彼らを支援して欲しいと?」
「どうか助力を願います」
司祭に向けて深々と頭を下げました。ここからはおそらく質疑応答、わかりやすく表現すると『で、お前はどんな支援を考えているんだ? 力を貸したらどうなるんだ?』という話になるでしょう。付け焼き刃ですが事前に予習はしてあります、荒野でどんな作物が育つか、そこからどんな産業なら興せる可能性があるか、それによって保護区の外の人間にどんな利益があるか、ヘイルワード氏自身もそこを押さえた上で権利付与を提唱していますし、いわばどこまで氏の論文を読み込めているかの確認作業となるでしょう。
「支援ねえ……それ、私にどんな得があるんだね?」
少々いやらしい角度で問い掛けられましたね。彼自身の損得の話を持ってくるとは、私も筆記だけが得意な世間知らずではありませんからね。
「まず慈善活動家として司祭の名が拡がります。僭越ながら申し上げますが、ピョルカハイム保護区諸部族への権利付与はまだ数ある意見のひとつでしかありません。ですが現実的な活動と実績を乗せることで、行動でもって自らの考えを示したことになります。そうなれば次は富裕層、さらにオルトア商業連合に所属する交易商人たちです。富を持った者は自らの善性を謳う傾向にありますから、彼らをパトロンにしてより活動範囲を拡げて支援を増やし、ピョルカハイム保護区に新たな産業を興すことが出来ます。そうなれば商人たちは放っておくはずがありません。彼らは当然、保護区と取引がしたいと考えます。しかし過去の歴史、現在の状況を鑑みるに直接取引するのはまだまだ難しく、窓口となる機関が必要となります。その時に支援活動の第一人者としてヘイルワード司祭の名が必ず上がります。もしかするとその時は数十年後、司祭も私も天国に旅立ってしまっているかもしれませんが、歴史上の偉人、教会で最も慈愛に満ちた聖人のひとりとして名を連ねるに違いありません。これは非常に名誉なことで……」
「あー、うん、はいはい。まあ言いたいことはわかったよ」
ヘイルワード氏がわずかに機嫌を損ねたような様子で手をひらひらと動かし、私の言葉を遮りました。しまった、ちょっと急ぎ過ぎましたかね。ですが伝えたい内容は伝えましたし、得という意味では他に切り込む要素がありません。教会の聖職者に対して、保護区内の若い娘を独占できますよ、などと俗な提案をするわけにもいきませんし、ルチさんから頭の皮を剥がれかねませんし。
「そうだねえ、頑張って考えてきたようだけど……3点だね」
3点ですか。いや、まあ10点を取れると自惚れるつもりは元よりありませんが、それにしても3ですか。5点くらい貰いたかったですね。
「ちなみに100点中の3点だからね。漠然とした部分が大き過ぎるし、話の筋そのものが全て上手くいくという前提に立ち過ぎだ。仮に筆記試験だと名前を書けたからおまけをしてあげようってレベルでしかない。私は試験官ではないから別にそこはどうでもいいんだが、とにかく現実味のない夢物語に乗ってあげる暇と義理はない、と言っておこうか」
ぐうの音も出ませんね。ええ、図星ですよ。でも理想を語れないで、ピョルカハイム保護区への支援など勝たれないでしょうが。
「私も話す、いいか?」
完全に詰んでしまった私の様子を見かねたのか、隣に座ってハーブ水を飲んだり嗅いだりしていたルチさんが口を開きました。
「ヒルチヒキ族のルチ・フォナ君、だったね? もちろんどうぞ」
「うん、話す……調子出ない、着替える」
そう言ってわざわざ用意した服を雑に脱ぎ捨てて、鞄の中にしまっておいた普段着に着替えて、白い染料で左右に1本ずつ頬をなぞり、ヒルチヒキ族の象徴でもある獣の頭蓋骨を被ってみせました。ちなみに向かい側では左側に控えていた女性が、ヘイルワード氏と小柄な青年の目元に手を伸ばして、着替える様子が見えないように配慮して下さったようです。その気遣いには素直に感謝しておきましょう、浅く頭を下げておきました。
「落ち着く、普段の服装、一番」
ルチさんは余程窮屈だったのか左右の腕をぐるぐると動かして、露わになった両腕のタトゥーを隠すことなく肘掛けの上に乗せてみせました。
「さて、ルチ・フォナ君。君は私になにを聞かせてくれるのかね?」
ルチさんに話させていいのでしょうか。ルチさんがこういう交渉事に向いているとは思えませんし、事前にそういう用意をしている素振りもありませんでした。その上でなにを語るのか多少興味はありますが、はっきりいってルチさんは1と10しか書かれていないダイスのようなものです。大成功の可能性もあれば大失敗の危険性もあって、こういう場では都合のいい目が出てくれないのが世界の法則です。
つまり嫌な予感しかしません……任せていいのでしょうか。いいえ、信じますよ、ルチさん。私が信じないで、一体誰がルチさんを信じてくれるんですか。
「前提の話、あなた、期待してない」
信じた私が馬鹿でした。ルチさん、お願いですから少しは考えて喋ってくださいよ……!
「あなたみたいな人間、よくいる」
ルチさんが言葉を続けます。どうやらヘイルワード氏はまだ怒っていないようですが、これが暴力絶対主義が蔓延る騎士団相手だったら斬られてもおかしくないですからね。
「どういうことだね?」
「口はよく動く、でも何もしない。どこにでもいる、一番役に立たない」
ルチさん、そろそろ1回黙りましょうか。後で美味しい牛肉の串焼きとか買ってあげますから。
「だから期待、しない。でもノルンここまで来た。支援取り付ける、必要ある」
「……君は彼女との友情のために支援を取り付けたい、と?」
だとしたら悪手にも程があります。支援が必要なのに挑発的な態度で臨むなんて、絶対に選んではいけない選択肢です。相手が罵られて喜ぶ類の変態なら話は別ですが、残念ながら或いは幸いにもヘイルワード氏にそのような趣味があるとは聞いたことがありません。
「であるならば、なおさら好戦的な態度は控えるべきではないかね? もちろん自分の娘よりも若い年齢の子供の言葉を、ひとつひとつ摘まんで怒るような真似はしないがね」
ほら、少し怒ってるじゃないですか。言葉では否定してますけど、こういう言い方をする時はだいたい怒っているものなんですよ。ルチさん、今からでも遅くありません、さっさと謝ってしまいましょう。私も一緒に頭を下げますから。
「問題ない。そもそも選択肢、選べない。支援得られない、ここから出られない、町に毒、流す」
なんですか、その話は!? 私はそんなこと聞いてないですよ!
「毒防ぐ、私も捕まえる、どちらも上手くいく。その場合、期限までにヒルチヒキ族の集落、帰れない、支援が得られない。この町、襲撃する。道中の町、全部襲う」
さっきまで大人の余裕を隠そうともしなかったヘイルワード氏さえも、さすがに唖然とした顔をしています。
「待ちなさい、ルチ君。そんなことをしても君たちヒルチヒキ族が敗れるだけだ。そんなことは先の人間と諸部族との対立で証明済みだろう?」
「ヒルチヒキ族、滅びる。遅かれ早かれ、時間の問題。支援得られない、早まるだけ。支援得られる、助かる道、作れる」
だったらなおさらお願いする態度を取らないと駄目じゃないですか。もうルチさんに任せておけません、土下座でもなんでもして、なんとか許してもらいましょう。
「あの……!」
横槍を入れようとした瞬間、ルチさんが私の顔の前に手を伸ばして遮りました。ここは私に任せろと言わんばかりの態度ですが、状況はどう考えても最悪の方向に向かっています。もはや逆転の目など逆さに振っても出てきませんよ。
「あなたが支援しない、人がたくさん死ぬ」
「それは君にも同じことが言えるのではないかね?」
そうです。仮にヘイルワード氏が支援しないせいで人が死ぬというなら、ヒルチヒキ族が仕掛けるせいで人が死ぬとも言えます。
「……? 私は関係ない。あなたの選択次第、人のせいにするの、よくない」
あのですねえ、ルチさん、それは屁理屈というのですよ。
「君はこの交渉の結果、同族が滅んでも自分の責任ではない、と。そういう風に考えるのだね?」
「みんないつか行く、精霊のところ。死んだヒルチヒキ族、精霊のところ行くだけ。人間、生贄に捧げる、行ける、精霊のところ。大丈夫、この町、他の町、みんな生贄に捧げる」
生贄と聞いて、皮を剥がされて火にかけられたレオーニ教授や調査隊のみなさんの姿が、脳裏に浮かんでしまいました。彼らの無残な姿、断末魔の叫び、あの肉の味、思い出しただけで呼吸が苦しくなります。胃の奥から喉を焼くような痛みが走り、忌避感と恐怖を混ぜこぜにして吐瀉物と共に吐き出されました。
私の様子にヘイルワード氏もこの通り魔のような交渉が、偽りでも脅しでもなく避けようのない未来であることを理解したようです。
「あなたが支援する、私たちなにもしない。支援貰える、人死なない、みんな喜ぶ、いいことづくめ。支援しない、人たくさん死ぬ、精霊は喜ぶ。あなたたち、損する。考えるまでもない」
ルチさんがヘイルワード氏の手を握り、友好的に上下に振ってみせました。おまけに優しい微笑みまで浮かべて。
「支援、武器たくさん欲しい。薬と食べ物、他にも必要、色々」
ヘイルワード氏はルチさんに手を握られたまま、呆れたように苦笑してみせて、
「参ったな。ここで大人げなく腹を立てて突っ撥ねたら、私は戦争の引き金になってしまうわけだ。かといって優しく断ってみせたところで、無関係な他人が教会の下した判断のために血を流すことになる。君がここに来た時点で……いいや、ノルン君が支援者として私を選んだ時点で、既に詰んでいたというわけだ。わかったわかった、私の負けだよ。なんでも好きなものを頼むといい」
なんと支援を約束してくれたのでした。
理想を机上の空論と呼ぶなら、交渉は机下の暴力ともいえます。つまり暴力の勝利ということなのでしょうか? 解せない点はありますが、目標が達成できたのなら良しとしましょうか……それにしても不思議な勝利ではありますが。
▶▶▶「命乞いをしながら葡萄酒を飲む聖人の話」
≪NPC紹介≫
ヨアヒム・ヘイルワード
種 族:人間(男、49歳、属性:雷)
体 格:170cm、63kg
クラス:学者(レベル25)
移 動:4↑2↓3(歩兵)
HP 腕力 魔力 守備 魔防 命中 回避 必殺 幸運 魅力
現在値 22 5 10 5 17 19 33 5 18 22
【スキル】
【個人】異端の司祭(種族・兵種によるダメージ増減を無効化)
【種族】貴族の嗜み(撃破した敵ユニットから少額の金を入手する)
【兵種】観察(敵ユニットの詳細な情報を見ることが出来る)
【??】
【??】
【??】
【技能】
短剣:E 剣術:E 槍術:E 斧鎚:E 鞭術:E 弓術:E 銃砲:E
体術:E 探索:C 魔道:B 回復:C 重装:E 馬術:C 学術:A
【装備】
パンタレラ教則本 威力16(6+10/魔法武器、雷属性)
魔道士のマント 回避+25、魔力+1
【所持品(3)】
ホーリーワンド×1