もぐれ!モグリール治療院 おまけ「ずいずい隧道だしお宝ポイ」

渓谷に掘られた隧道は基本的には採石労働や秘密の抜け道として使われるものだけど、中には特殊な使われ方をする場所もある。複雑に掘り進めて宝や武器の隠し場所を作ったり、見落としそうな横穴を抜けた先に秘密の小部屋や集会所を構えてみせたり、普通の牢獄では抑えきれない厄介な囚人を閉じ込めたり。
そんなわけで探ってみればお宝のひとつやふたつは見つかるし、運がよければ盗賊王の隠し財産や秘密の地下教会に隠された聖遺物なんてものと出会えたりもする。もちろん罠もあれば天然の毒ガスが噴き出していることもあるし、命がけになる場合も少なくないけど、どのみち大抵の冒険は運が良ければいいことがあるし、運が悪ければ死ぬのでそんなに気にすることもないと思う。
というわけでこの私、ヤミーちゃんは、アイテム探しの名人ヤーブロッコと荷物持ちのゴブゴブズを連れて、なんかお宝のにおいのする隧道に寄り道することにしたってわけ。


◆❖◇❖◆


【マクハーディ地下道】
クラックデルタ崖道の中腹から降りた辺りに位置する天然の隧道で、数百年前まで存在した地下水脈の流れで掘られたと伝わる。一時期はフィアレアド国内のどこにも属さない英雄的な義賊マクハーディたちの根城と化していて、彼らはひとり残らず処刑されたものの最後の最後まで根城の場所を明かさず、色々調査を進めた結果、多分ここなんじゃないかと言われている。
ちなみに辺鄙な場所なこともあって調査は途中で打ち切り、食器や寝具の残骸から根城だとする根拠は持ち帰ったものの、財宝らしきものは見つからず仕舞いのまま。

「どう? なんか見つかった?」
「あのなあ、金目の物ってのはそう簡単に見つからないから金になるんだぞ」
私の問いかけにヤーブロッコは呆れたように返してきた。けど、その手に握られたどぶさらい用のシャベルや鋤は、湿り気のある土から掘り出した魔獣の爪とか妙にぐるぐるした巻貝の殻、ガラス瓶なんかを休みなく掘り出している。私はさっきからなんにも見つけてないというのに!
「それにだな、一度は調査された場所で隠し部屋なんかはそうそう見つからないもんだぞ。なんせ一度は調べ尽くされてるんだからな」
ヤーブロッコが壁をじっくりと見つめながら、わずかに色の変わった石を見つけてシャベルの先で押した。するとゴゴゴゴと地鳴りのような音を立てて、反対側の壁が左右に動いて、人ひとり通れそうな幅の隠し通路が現れた。
「……天才か? 天才気取りか?」
「いや、たまたまだろ。罠だった可能性もあったわけだし」
隠し通路の奥には小部屋程度に彫り抜かれた空間があり、そこには一振りの刃が毀れ削げるまで使い潰された剣と金色の懐中時計が、お供え物のように人骨の前に置かれていた。

もしかしたらこの骨が義賊マクハーディその人で、彼が死んでしまったから他の仲間たちはあえて捕まったのかもしれない。この場所を秘密にして、敵から荒らされないように。
って考えてみても答えは出ない。でもここは誰かのお墓で、このお供え物はこの場所を見つけたものへの報酬に違いない。よくもまあ見つけたもんだぜ、へへっ、構うこたぁねえ、持っていきな……みたいなね。いや、それも考えても答えは出ないんだけど、きっとそういうことなのだと思うことにする。だって高く売れそうだから!

拾得:反逆者の剣×1、金の懐中時計×1、魔獣の爪×2、螺旋巻貝×1、硝子×3、人骨×1


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【コルトレイン洞穴】
クラックデルタ崖道から少し外れた斜面の中程に位置する、誰もが見落としがちな細い横穴。入り口を意図的に狭くしているだけで、中はそれなりに広く、噂によると神人バスコミアナを崇めるための秘密教会があったとされる。
ちなみにフィアレアドの信仰する神は、ラステディン教会統治地で広く信仰されている大地母神や神人とは違うらしくて、かなり過激な異教徒弾圧があったんだとか。ちなみに私は神を信じていないけど、もし神が現れたとしたら油断している内に背後に回り込んで、首と頭の境目辺りを殴ろうと思う。

「どう? なんか見つかった?」
「あのなあ、さっきも言ったけど金目の物ってのはそう簡単に見つからないから金になるんだぞ」
私の問いかけにヤーブロッコはまたしても呆れたように返してきた。けど、その手に握られた鉱山労働用のマトックは、赤みを帯びた鉄鉱石や魔力を帯びた銀を的確に掘り出していく。私が見つけたのはよくわからない黒い砂の塊だけなのに!
「だいたいだな、秘密教会ってことは余程わからないように隠されてるはずだろ? なんせ秘密なんだからな」
ヤーブロッコが突き当りの壁をじっくり眺めながら、左右を見まわして、続いて頭上を見上げた。その先には洞穴の闇で姿を隠したタラップが設置されていて、私がヤーブロッコを踏み台にして跳び上がって掴み、そのまま登ったところ、秘密の隠し部屋と祭壇が設置されていた。

祭壇の前には幾つもの人骨が横たわっていて、きっと彼らは追い詰められた信徒かなにかで、きっと世の中への恨みとかつらみとか抱えていたに違いない。それを晴らす手段はもちろんひとつだけ、彼らの信仰した神の依り代たる銀の女神像、これを持ち帰って一緒に冒険してみせることなのだ。そういうことにする! だって、なんか魔力とか加護とか込められてそうだから!

取得:法銀の女神像×1、赤鉄鉱×2、魔法銀×2、黒砂×1、人骨×2


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【ロッタデリー棄道】
クラックデルタ崖道の真下、まさに崖下に存在する放棄された隧道。かつて切り出した石を運んだトロッコの軌跡や、採石労働者たちの荷物が残されているものの、落盤で部分的に道が閉ざされていることもあって、回収は一向に進んでいない。
人が寄り付かなくなった現在、どんな危険があるかなどわかったものではない。

「どう? なんか見つかった?」
「あのなあ、繰り返すが金目の物ってのはそう簡単に見つからないから金になるんだぞ」
私の問いかけにヤーブロッコは例によって呆れたように返してきた。けど、その手に握られた草刈り鎌は、自生した草の中から正確に素材にありそうな種類だけを選んで取り尽くしていく。私は綿毛のある草をふーって吹いて飛ばすくらいしかしてないのに!
「そもそもだな、鉱石労働者たちの使ってた隧道に隠し通路があるのも変な話だろ? 作業に無関係すぎる」
ヤーブロッコが落盤で埋もれた一角を眺めながら、その真横の壁にマトックを振り下ろして突き崩す。その奥には人がひとりふたり入れそうな狭い空間があって、白骨化した人間らしきものが横たわっていた。

もしかしたらこの骨を隠すために労働者たちは意図的に崩落を起こしたのかもしれない。骨は採石労働者にしては小柄で、指には細い金色の指輪が嵌められたままでいる。この人がどこの誰かは知らないけど、供養できるのはきっと発見した私たちだけ。その指輪は私たちが持ち帰って、大事に管理するからね。どこかでお金に換わると思うけど、それが供養というものだから! だって結構な値が付きそうだもん!

取得:金の指輪×1、マトック×1、毒草×2、退魔草×1、人骨×1


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「オヤブン、ミンナたんたもるらニ向カッタ!」
「置イテカレルヨ!」
「モウ荷物イッパイ!」
疲れ果てたゴブゴブズたちが、この辺で切り上げようと訴える。確かにみんなもう先に進んでしまったし、ヤーブロッコの荷物袋にはまだ若干の余裕があるけど、ここらが潮時ってやつなのかもしれない。
欲張りは身を滅ぼす。まだ立ち寄ってない隧道は何箇所もあるけど、私たちは探索を切り上げてみんなと合流することにした。
「それなりに金になるからいいんじゃないか?」
ヤーブロッコも同意して、タンタモルラへの隧道へと足を向けて、道中でしれっと鉱石を彫り出していった。私がろくなもの手に入れてないっていうのに!

取得:銅鉱石×1


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