もぐれ!モグリール治療院 おまけ「派遣任務をやってみよう」
冒険者ギルドの壁には色々と依頼が貼ってある。ほとんどはスルークハウゼンの商人や住人、他には騎士団や教会からの依頼で、内容もスルークハウゼンの近隣、近い場合は城壁内で完結するものが多い。もちろん中には見たことも聞いたこともない、どこにあるかもわからない宝石や金属を探してきてくれー、っていう無茶振りもあるけど、そんなのはすごく稀。
でも中には結構遠くの、馬や鉄道で行くような離れた町からの依頼もあって、そういうのは各地の冒険者ギルド支所に出されたものだったりする。冒険者は基本的にコツコツ働くのが嫌いな博打好きが多くて、でっかい得物を求めがちな生き物だから、支所を拠点にする冒険者自体は少ない。そういうわけで、支所に届く依頼の半分はスルークハウゼンや他の大きな町にも貼りだされる。
残念ながら場所が場所なので、旅費と報酬が釣り合ってなくて引き受ける割合は少ないんだけど、たまに面白がったり力を発揮できそうという理由で受ける者がいたりする。
「ヤミーちゃん、派遣任務はおすすめですよ!」
割となんでもおすすめしてくる受付のお姉さんが、今日も当然のようにおすすめしてくる。
「なんせヤミーちゃんのパーティーはテイマー型でしょ。支所のある町は、地域によっては亜人種族と交流があったりして、ゴブリンやサイクロプスでも歓迎してくれたりするんです。もちろん言葉が通じて、交渉に応じることが出来るのが最低条件ですけどね」
冒険者パーティーには幾つか種類があって、大半は人間と人間に近い社会生活を送るエルフやドワーフを含んだパーティー。でも中には私たちのような、魔獣やゴブリンを戦力として使うビーストテイマー、モンスターテイマーと呼ばれる集団もいる。うちのところくらい人間の割合が少ないのは、かなり珍しいそうだけど。
「というわけで、いつも猪とか鹿を狩ってばかりで冒険者らしいことを出来てないから、ここらでひとつ派遣任務をやってみようと思う!」
「いいんじゃないか? 冒険者らしいことを出来てないのは、9割方お嬢のせいだがな。先日も河原で暴れたとかなんとかって苦情の手紙が来たぞ。ちなみに手紙は、古新聞と一緒に紙屑拾いに売ったからもう無い」
私が不在の時に逸れ者部隊を率いているサイクロプスのでっぷりが、しれっと嫌味をひとつふたつ混ぜながら賛同してくれる。
「いいんじゃないですか。交渉相手に人間が必要ということなら、ヤーブロッコさんにも声をかけてみましょう」
元迷子のオーク兵のピギーが、私が貰ってきた依頼の写しを読みながら乗ってくれる。オークは見た目は獣側だけど騎士団に同行するくらいには人間に近い種族だから、派遣パーティーの代表もこなしてくれるかもしれない。
「オレタチ、ガンバル」
「ナルベク安全ナノガイイ」
「出来レバ楽シタイ」
ゴブゴブズも乗り気なようで、やる気を見せている。ちょっと後ろ向きだけど。
「よし、がんばってこい!」
私はでっぷりとピギーに選択を任せて、それぞれに激励の言葉を投げかけた。
◆❖◇❖◆
【古代ラースコラニア遺跡調査】
『ナクトラタ独立領で遺跡が発見された! おそらく古代ラースコラニア国で使われた祭壇だが、周辺には危険な魔物がいるかもしれない。騎士団に同行を頼んでみたが、遺跡の価値がわからない内は貴重な人材を送れないと断られてしまった。そこで腕に自信のある冒険者に護衛をお願いしたい。(ヴァールム調査隊)』
派遣:ヤーブロッコ(どぶさらい、レベル15)、アイオリデス(サイクロプス、レベル14)、ノーラ(アイアンゴーレム、レベル10)
「俺たちはナクトラタ独立領の入り口で考古学者たちと落ち合い、古代ラースコラニア国の遺跡へと向かった。遺跡には既に盗掘家が入り込んでいて小規模な戦闘になったが、特に大きな被害もなく退けることが出来た。祭壇は人間の祖先とおぼしき古代種族が儀式に使っていたと推測され、もしかすると俺たちは原初の宗教や大陸最古の魔法儀式の残滓に触れたのかもしれない。報酬の精霊銀とは別に、盗掘家から取り返した古代人の剣を一振り手に入れた。呪いが込められている可能性があるから、ギルドで鑑定してもらってくれ」
「それと遺跡の周辺で幾つかアイテムを発見した。特にラースコラニア銅貨はコレクターが高値で売買しているそうだから、これもギルドに提出したらいい。相場で買い取ってくれるはずだ」
報酬:古代人スホリ・ムニノの魔剣×1、精霊銀×3
拾得:フレイル×1、ポーション×2、尖った角×3、銅鉱石×2、ラースコラニア銅貨×1
ヤーブロッコとでっぷりにゴーレムまで加えた盤石なチームだから、なんの心配もしてなかったけど、どうやら上手くいったらしい。鑑定してもらった剣は、古代人の魔道士スホリ・ムニノの振るった魔剣だそうで、斬った者の体を急激に衰えさせる呪いが込められているらしい。純粋な剣としては青銅以下のなまくらだけど、どこかで活かせる場面があるかもしれないから、後でゴブゴブズの誰かしらに持たせとこう。
【ミロステッチ湖釣り大会】
『ポンチョッポ村近くのミロステッチ湖で釣り大会を開催する! 我こそはと腕に自信のある釣り人は是非とも参加して欲しい、いや、しれくれ! 去年は湖に棲息する怪魚を恐れて誰も来てくれなかったんだ、このままじゃ村が廃れてしまう。頼む、誰か怪魚を釣り上げてくれ!(ポンチョッポ村観光協会)』
派遣:ルチ・フォナ(ヒルチヒキ族、レベル14)、パォザ=シソ(オクトパス、レベル12)
「釣り大会、成功、うまくいった。怪魚、大きい。タコ、しがみつく。頭、銃で狙う、撃つ。弱らせる。タコ、締め上げる、もっと弱る。釣り上げる。依頼人、大喜び。怪魚の腹、出てきた。女神像、貰った」
報酬:湖水の女神像×1、怪魚の鱗×3
拾得:珊瑚×2
よくわからないけど、ルチがタコを上手く操って怪魚を釣り上げたらしい。怪魚の腹からはいつどこで飲み込んだのか、清流のように青く輝く人間大の女神像が出てきて、優勝賞品代わりに貰ってきたのだとか。価値はよくわからないから、これもギルドに買い取ってもらえばいいのかな?
【ナフテハール牧場警備】
『最近おらの牧場の近くを怪しい奴がうろついてるのがわかったんだ。地上げ屋かもしんねえし、牛泥棒かもしんねえ。だもんで、ちょっと誰か警備に来てくんねえかな? もし悪党で捕まえてくれたら、それなりのお礼はすっからよお。(牛乳農家のナフテハール)』
派遣:ピギー・ワイルドボー(トゥルウィス、レベル13)、ポロッカ(ゴブリン、レベル11)、ペリーニ(ゴブリン、レベル11)、プロンタ(ゴブリン、レベル11)
「報告します。我々はスルークハウゼンから鉄道と馬車を乗り継ぎ、ナフテハール牧場へと向かいました。到着次第、すぐに周囲を探索したところ、鹿の蹄のような足跡を二対ではなく一対ずつ発見したので、ウェンディゴかライカンスロープによるものだと推測、すぐに対処を始めました」
「犯人、うぇんでぃごダッタ!」
「捕マエテぼっこぼこニシタ!」
「縄デ縛ッテ連レテカエッタ!」
「どうやら山から迷って降りてきたウェンディゴだったようで、数日間見張りを続けたところ、後続の群れもいないようでしたので警備は終了となりました。報酬としてメルカルバス牛の角を頂きました。相手によっては象牙と同等の価格で取引されるものなので、後日ギルドに正規の値段で買い取ってもらいましょう」
報酬:メルカルバス牛の角×1、干し肉×4
取得:木材×1、糞×1
ピギーとゴブゴブズに任せた牧場警備は、大きな怪我もなく無事に終わった。もしかしたら野盗の斥候かもしれないと思って、念のため頭数多めで行かせたけど、これならピギーひとりでも問題なかったかも。いや、結果がそうだっただけで蓋を開けてみるまで分からないんだから、念には念を入れておくべきだよね。
で、ウェンディゴを連れ帰ってきたって言ってたけど、おなかを空かせてうろうろしてただけなので、駆除するのも心苦しいからだとか。甘いなあ、ピギーとゴブゴブズは。でも任せて送り出した以上、ピギーたちの選択に口出しするつもりはない。ここはひとつ、快く受け入れてあげようじゃないの。
「ごはん、おいしい! ごはん、おいしい! 人間よりおいしい!」
よっぽどおなかが空いていたのか、頭に鹿の角を生やしたウェンディゴの女が勢いよく魚やパンを噛み千切り、次々に飲み込んでいく。人間を食べる種族だけど、人間より魚や獣肉の方がおいしいと理解したようで、スルークハウゼンでは人を食べてはいけないよと注意したら素直に聞き入れてくれた。
「人間、生贄、捧げる。精霊、感謝」
「生贄にしてもいけないよー」
そういえばルチの部族は人間の皮を剥いで精霊に捧げる風習があったんだっけ? スルークハウゼン近くではしないように言い聞かせなきゃ。
NEXT「鉄槌を下してみよう」
≪加入ユニット紹介≫
ウストムィ
種 族:ウェンディゴ(女、24歳)
クラス:ウェンディゴ(レベル11)
HP 腕力 魔力 守備 魔防 命中 回避 必殺 幸運 魅力 移動
能力値 25 9 3 4 3 11 21 10 8 4 4↑2↓3(歩兵)
成長率 35 40 10 15 20 35 30 20 35 10
【技能】
短剣:D 剣術:E 槍術:E 斧鎚:E 弓術:E 体術:E
探索:C 魔道:E 回復:E 重装:E 馬術:E 学術:E
【装備】
鉄の短剣 威力13(4+9)
革のマント 回避+10
【スキル】
【個人】ハラペコムシ(周囲3マス以内に食べ物が置かれたら自動的にその場所に移動する)
【基本】マンイーター(人間に攻撃した時、必殺+10)
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